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本誌記事 ケーススタディ クラウドサーカス

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Casestudy ケーススタディ

クラウドサーカス

自社のサクセス業務で磨いた支援ツールを提供
“ITと人材”の高度な融合がもたらす「やりがい」の醸成

クラウドサーカスは、2014年からカスタマーサクセス部門を設置。その支援ツールとして誕生したツールが「Fullstar」で、2021年から外部へも提供開始している。同ソリューションのカスタマーサクセス部門を統括する橋口浩暉氏は「人手でしかできない価値を提供することで人のモチベーションは高まる」と強調する。同社ソリューションの全体像とサクセス部門の構造、目指すビジョンを聞いた。

橋口浩暉氏
クラウドサーカス Fullstar事業部 事業部長 橋口浩暉氏

 クラウドサーカス(東京都新宿区、北村健一代表取締役CEO)は、カスタマーサクセスツール「Fullstar」、MAツール「BowNow」やオンラインチャット「IZANAI」をはじめ、マーケティング・営業支援領域で12のツールを提供し、累計導入実績は5万1000社にのぼる。

 SaaS形態でビジネスを展開しており、まだ国内でカスタマーサクセスが浸透していない2014年から部門を設置。9年にわたりカスタマーサクセス業務を運用しており、約30名のCSM(カスタマーサクセスのスタッフ)が在籍している。

定型業務はソリューション任せに
人にしかできない価値提供を

 主な業務はオンボーディング支援、定期ミーティング(MTG)、活用支援セミナー開催、アップセル/クロスセル、サイト上のガイド作成などだ。在籍するスタッフは、CSM(カスタマーサクセスマネージャー)/カスタマーマーケという2つの役割で構成。この30名の他にもプロフェッショナルサービスを担当するコンサルタントや顧客の問い合わせ対応を行うカスタマーサポートがそれぞれ10名ほど在籍し、カスタマーサクセスに近い業務を行っている。CSMは25名で、オンボーディング支援や定期ミーティングを、そして5名のカスタマーマーケが活用支援セミナーやガイド作成などをそれぞれ担う。

 KGIは“ライセンスチャーンレート”、つまりライセンス単位での解約率(総ライセンスに対する解約ライセンス数)だ。それを左右するKPIとして3カ月以内の稼働率を設定。かつては約80項目のヘルススコアを作成、運用していが、コロナ禍で顧客のビジネス状態の悪化に伴う解約が増え、従来のヘルススコアの構成項目との相関性が希薄になったことで一時的に利用を中止した。今年に入り、ヘルススコア項目を再整備、再検証している。

 橋口氏は「ヘルススコアについては、お客様のコンサルティングを行うことも少なくないのですが、とくにBtoBでは一定以上のユーザー数がないと解約傾向の分析は難しい。必ずしもすべてのケースで必要というわけでもありません」と説明する。

要望が増加中の機能は
チュートリアルとCTAルール

 同社のカスタマーサクセス部門の運用支援ソリューションとして開発・改善を重ねてきたのが、Fullstarだ。これは、ノーコードで構築できる“カスタマーサクセスプラットフォーム”で、2021年から外販を開始した。

 主な機能は(1)チュートリアル作成、(2)プロダクトアナリティクス、(3)カスタマーサクセス管理の3つ。(1)のチュートリアル作成とは、エンドユーザーが閲覧する画面上に各種の案内をポップアップなどで誘導するもの。セルフオンボーディングが実現でき、工数削減と質の良いUI/UXが提供可能となる(画像)。

ユーザータイムライン機能

ユーザータイムライン機能:ユーザー単位で、サービスにログイン後の各ページへの遷移、滞在時間、ツールチップ閲覧有無を集計し、タイムライン形式で表示(画像をクリックして拡大できます)

ガイド機能

ガイド機能:画面上にノーコードで機能を案内するガイドを表示(画像をクリックして拡大できます)

 (2)のプロダクトアナリティクスは、機能別の月ごとの利用率の分析、解約顧客と優良顧客の利用状況比較、設定完了状況の分析、クリックイベントの計測、個別の顧客の状態の把握などができる。アンケートも作成でき、エンゲージメントの状況やインサイト情報も把握できる。

 (3)のカスタマーサクセス管理は、解約危機にある顧客やユーザーの最終ログイン日などを把握できる。また、CRMツールへの情報自動連携の他、ユーザーの利用状況をファネルで管理でき、CTA(Call To Action)ルールの設定も可能だ。解約やアップセルの兆候を逃さずハイタッチ管理を支援、少ないリソースで効率的にLTVを最大化する機能を提供している。

 セールスフォース・ジャパンのCRMツールやコミュニケーションツールであるSlackと連携しており、Fullstarで取得した顧客データを自動連携することも可能だ。

 サクセスツールの需要動向についてFullstar事業部 事業部長の橋口浩暉氏は、「とくに要望が増えているのがチュートリアルとCTAルール作成機能です。リリースした2年ほど前は、こちらから積極的にアプローチや情報発信しないと導入数が伸びなかったのですが、最近は問い合わせが増えています」と説明する。

 さらに橋口氏は、業界全体におけるテクノロジー活用の遅れも危惧する。「同じ機能説明を毎月、何十社も行うだけではカスタマーサクセス活動は楽しいものにはなりにくい。加えて、顧客からサクセス部門と無関係のクレームが入って現場が疲弊するという声も少なくありません。人がやらなくていい仕事はテクノロジーに任せ、人にしかできない価値提供を増やすことで、カスタマーサクセスの仕事自体を楽しいものにしたい」とビジョンを語った。

(2023年12月号 月刊「コールセンタージャパン」掲載)

 

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