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本誌記事 トレンド 「Customer Success Day!」誌上レビュー

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「Customer Success Day!」誌上レビュー

世界で最も成功したサブスク企業、アドビの挑戦──
サクセス&サポート部門、「共創」の効果

月刊コールセンタージャパン編集部は10月、カスタマーサクセスに特化したオンラインセミナー「Customer Success Day!」を開催した。識者の講演や事例企業のパネルディスカッション、カスタマーサクセスの実践を支援するITソリューションやサービスの紹介が行われ、視聴者は200名を超えた。本稿では、特別対談「アドビのカスタマーサクセス×カスタマーサポート データを活かした顧客接点“共創”戦略」を再録する。

辻 寿氏
デジタルメディア事業部カスタマーエクスペリエンス本部 執行役員の辻 寿氏
山本悟史氏
カスタマーサクセス本部 本部⻑の山本悟史氏

 アドビは、クリエイター向けの「Adobe Creative Cloud」やオフィスで活用するドキュメント類を作成・管理する「Adobe Document Cloud」、デジタルビジネスを強化する「Adobe Experience Cloud」といったクラウドソリューションを提供。かつてのパッケージ販売型のビジネスモデルからクラウドシフトに成功、大きく成長した。本セミナーでは、カスタマーサポート領域を含めて広くマネジメントしているデジタルメディア事業部カスタマーエクスペリエンス本部 執行役員の辻 寿氏と、カスタマーサクセス本部 本部⻑の山本悟史氏が出演し、両部門の立ち位置や機能、連携について解説した。

 まず、モデレータを務めたコールセンタージャパン編集部の矢島が「両部門の目的はカスタマーエクスペリエンス(CX)向上で、ほとんどのケースで一致しているはずで、対応する顧客も同じ。にも関わらず、人材交流もなければ、仕組みやルール、対応ポリシーなど、個別最適化されたサイロ型組織になっているケースが多いのが現状」と問題提起した。

 辻氏は、「アドビの場合、サポートもサクセスもミッションは“ポストセールスのCX向上”と同じ。そのうえで、それぞれKPIを設定しています」と強調する。その役割・性質とKPIの比較が図1だ。「リアクティブなサポートとプロアクティブなサクセス、顧客満足(CSAT)を追求するサポートと、LTV向上をミッションとするサクセスなど、役割や性質は異なります。しかし、その“間”を埋めてお客様の利便性を高める取り組みを進めている最中です」(辻氏)。

図1 カスタマーサポートとカスタマーサクセスのミッションとKPI

図1 カスタマーサポートとカスタマーサクセスのミッションとKPI

 具体的な施策のひとつが、サポート部門の機能と役割の進化だ。辻氏は、「リアクティブな組織から、“Next Best Action(NBA)”の提案を見据えた新しい機能をサポート部門に持たせる方針」と説明する。

 一方、サクセス部門はアドビ製品の価値を理解してもらい、ネット・エクスパンションに寄与することがミッション。具体的なKPIとして「シート・アサイン」「アクティベーション」、ソリューションの提案数・実施数を示す「アクティビティ数」を設定している。

 シート・アサインは「例えば100ライセンス購入いただいているお客様も、70ライセンスしかユーザーに割り当てられていないケースもあります。しっかり活用頂くことでどんなビジネス貢献が可能かをIT管理部門に啓蒙、実際に行き渡るための環境づくりを行っています」(山本氏)。アクティベーションは、四半期単位でのユーザーの活用度合いを数値化したもの。この2つをネット・エクスパンションに寄与するKPIとしている。山本氏は「言い換えればリテンションにつながるKPIなのですが、エクスパンションとした方が守りではない、プロアクティブな姿勢が生まれやすい」と説明した。

 アクティビティ数は、「お客様に対して、製品のデモやセミナーなどのソリューションを提供した数。待つだけでなくプロアクティブに仕掛けていかないと、アドビ製品の価値理解は最大化されないと考えているため、“数”をKPIとしている」(山本氏)という。

カバー範囲の「重複」を生かす!
CX向上に向けた3つの共創施策

 サポートがやや「サクセス寄り」のミッションと役割を持つ傾向にあるようだが、山本氏は「人材や仕組み、情報がサイロ化されているのはアドビも他社同様。その環境下でCX向上を果たすために、両チームは“共創”にチャレンジしています」と強調する。

 同社のサポート/サクセスのカバー範囲を端的に示したのが図2だ。サクセスがもたらす「こんな使い方ができる」という提案と、サポートによる「使えなかったことが解決した」という経験が重複する部分を、いかに共有財産とするか。その取り組み例として、(1)Adobe Support Plan(有償サポート)による質の高い支援、(2)社内レビューのプロセス構築/整備、(3)Support Case対応の側面支援──について説明した。「サポートだけ、サクセスだけでは、お客様の情報をすべて踏まえたコミュニケーションは難しい。連携することで抜け漏れのない対応が可能となり、その情報を生かすことで、そもそも問い合わせする必要のない、完成度の高いサービス提供に近づくことも可能だと考えています」(辻氏)。

図2 カスタマーサクセスとカスタマーサポートの共創コンセプト

図2 カスタマーサクセスとカスタマーサポートの共創コンセプト

※画像をクリックして拡大できます

 サクセス部門とサポート部門。同じ顧客接点で目的も同じである以上、連携効果がまったくないというケースはあり得ない。同社の「共創」に向けた取り組みは多くのサブスクリプション企業のロールモデルとなるはずだ。

(2023年12月号 月刊「コールセンタージャパン」掲載)

 

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