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2023年12月号 <センター探訪>

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Cebu tele-net Philippines

“コールセンター大国”の国民性を理解する
「ホスピタリティ」を生かす文化作りにまい進

 フィリピン・セブ島に本社を置くCebu tele-net Philippinesは今年、設立10年目を迎えた。同島に3拠点、首都マニラに1拠点がある。5月には、セブ島の中心地区に5拠点目のFaustinaコンタクトセンターを新設。全拠点最大の約2000㎡で、約500席の稼働が可能だ。現在は400名弱のオペレータが在籍している。

 設立時から携わるアトック・千紗都COOは、「全拠点で700名ほどのスタッフが働くまでに成長しました。しかし、すでにBPO事業が一大産業になっていた中での新会社設立は、実に大変でした」と当時を振り返る。

 強みは、“業務水準の英語力で、日本ならではの質の高い応対を手ごろな価格で提供する”ことだ。「価値を見出してもらえるよう、クライアント企業がある米国まで出向いたり、当社の運営状況を実際に見てもらうことを続けてきました」(アトック氏)。そんなアトック氏だが、コールセンター業は未経験だったため、オペレータなどの現場経験を積み重ね、多くの知見を深めたという。

 欧米企業を中心に、一部、欧米に進出する日系企業の業務も受託している。主な業務は、フィンテックや配車サービスのほか、コロナ禍で需要の伸びたECのサポート。バックオフィス業務としてデータベースの更新、エンドユーザー向けテクニカルサポートなども請け負う。ここ最近は、生成AIに学習させるための文章や、画像の素材集めと加工を行う業務が増加傾向にあり、採用も積極的だ。採用には困らないというものの、“コールセンター大国”ならではの悩みはある。

 「人口は増加傾向にあり、平均年齢は24歳前後。当社のボリュームゾーンも20〜30代と対象数は多いです。ですが、センターが無数にあるだけに、転職活動も積極的。より良い条件を求め、あるいは業務に飽きたなどの理由から、自分に合う場所を求めて“ホッピング”する人が多い現状もあります。スタッフの入れ替わりが激しくなると、応対品質にも影響しますし、クライアントとしても、良いスタッフには継続的してプロジェクトに関わってほしいはず。そのためにも、長く働き続けたいと感じさせる雇用環境の整備は欠かせません」(アトック氏)

新しいオフィスでスタッフらと記念撮影するアトック氏(前列右から2人目)

新しいオフィスでスタッフらと記念撮影するアトック氏(前列右から2人目)

フィリピンでも雇用の安定望む傾向

 現地の風潮は、“短期の仕事が得られたら良い”から、“安心して働き続けられる企業に勤めたい”に変化してきている。雇用から最長6カ月が過ぎると、正社員での雇用が定められているが、その時点で契約を打ち切る企業も多いという。アトック氏は、「当社では、正社員雇用を前提に採用を行い、長期雇用を担保します。この国では、ひとりの働き手が、家族全員を養う傾向が強く“家族のことも考えている”姿勢を打ち出すのも大切。例えば、スタッフが病気になったら、家族は治療費の捻出に悩みますから、会社負担の保険を適用することで、心配事を減らすといったケアをしています」と述べる。

 「クリスチャンの多いフィリピンでは、クリスマスパーティーを開かない企業は潰れると言われるほど重要」(アトック氏)なだけに、全社行事や部署ごとの余暇活動も重視。宗教観や、楽しいことを好む国民性を重んじた福利厚生を実施している。「顧客応対は、どうしてもストレスがかかります。イベントなどで息抜きをしてもらい、高いホスピタリティを存分に発揮してもらえたらと考えています」(アトック氏)。同社で働く息子から、会社の評判を聞いて、父親もオペレータになるといった家族ぐるみでスタッフになるケースも多いそうだ。

クリスマス
クリスマスやハロウィンパーティーは一大イベント

クリスマスやハロウィンパーティーは一大イベント

 フィリピン人は、SNS好きでも知られ、なかでもFacebookの利用度合が高いとされる。同社はこの傾向を、採用やCSR活動のPRに活用。「当社のページをフォローしていて、全投稿に“いいね”をしてくれたスタッフのうち、毎月ひとりに1万円ほどのインセンティブを付与。楽しみながら、ちょっとしたおこづかいがもらえると人気です」(アトック氏)

 日系企業としてのマインドを浸透させながらの事業拡大は、苦労もあった。しかし今は、現地スタッフがセンター運営から案件獲得までを仕切る。「AI活用が進む一方で、人による応対の水準は上がるでしょう。“フィリピンと日本のいいところ”を掛け合わせて、事業拡大を図ります」とアトック氏は今後を見据える。

アクティビティ
アクティビティ
アクティビティを楽しむ笑顔のスタッフたち

アクティビティを楽しむ笑顔のスタッフたち

 

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