エフォートレスとホスピタリティは両立できるか
カード3社が目指す「CX」重視のセンター運営
──イオンフィナンシャルサービス/クレディセゾン/楽天カード
消費のオンラインシフトやキャッシュレス化を背景に、拡大の一途をたどるクレジットカード市場。主要各社はエフォートレスなCX(カスタマーエクスペリエンス)を追求するとともに、ポイント制度の強化やフィッシング詐欺などへの不安を抱える顧客からの問い合わせに真摯に対応している。「信用」が基盤となるビジネスがゆえに、コールセンターが果たすべき役割は大きい。
コロナ禍による消費活動のデジタルシフトに加え、マイナポイントなど国策による後押しもあり、キャッシュレス化が進行。クレジットカードの利用シーンは増えるばかりだ。日本クレジット協会の統計によれば、緊急事態宣言が発令された2020年こそ横ばいで推移したものの、以降は2桁成長ペースで推移している(図)。
利用が増えれば、当然、問い合わせも増加する。各社とも、手続きをオンラインで完結できる仕組みの構築や、チャットボットをはじめサポートの自動化を推進、呼量低減を図っている。
一方で、クレジットカードは「信用」を基盤とするビジネスであり、それを人によるコミュニケーションで築くコールセンターの役割は大きい。クレジットカードの利用にまつわるトラブルは増えており、今年6月、フィッシング対策協議会に寄せられたフィッシング報告件数は約15万件と過去最高を記録した。フィッシングメールの件名にクレジットカードの会社名が書かれているケースが多いことから、カード保持者以外からの問い合わせもコールセンターに数多く寄せられたという。こうした不安に寄り添う姿勢は、カードの信頼に直結する。
自己解決の促進と、有人対応では徹底的な寄り添いの双方に力を入れるカード会社。本誌では、イオンフィナンシャルサービス、楽天カード、クレディセゾンの3社の戦略と取り組みを検証する。
図 クレジットカードショッピング信用供与額・信用供与残高
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