「消費者白書」に垣間見える
顧客接点の致命的“ペインポイント”
毎年、閣議決定を経て公表される「消費者白書」。消費生活センターに寄せられたトラブルに関する情報を集計・分析している。今年の結果からは、コールセンターやカスタマーサクセス市場でも課題とされている「シニア対応」「サブスク利用時の解約手続き」に関する課題が浮上している。データの一部を抜粋、顧客接点におけるペインポイント(痛点)を検証する。
顧客を理解するには、その行動と感情──とくに何に不便や不都合を感じているのか、いわゆる「痛点(ペインポイント)」を把握する必要がある。コールセンターに蓄積した苦情をはじめとしたVOC(顧客の声)を分析することは当然として、もっと幅広い視野、高い視座で理解する素材となるのが、毎年、政府が閣議決定を経て公表している「消費者白書」だ。今年の同白書のなかから、すべてのコールセンターでも課題となっている「シニア対応」と、サブスクリプション型サービスの拡大で問題視されつつある「解約手続き」に関する苦情の統計情報(図参照)を抜粋、検証する。
とくに目立ったのは、「解約手続き」に関するトラブルだ。インターネット通販で、実際に購入等につながったり、困ったりしたものという調査では、「解約までの手続きやページがわかりにくい」は全体の25.7%を占め、「解約方法が電話限りなのに電話がつながらない」も14.4%となっている。この2項目を含め、上位に並んだ項目はいずれも、いわゆる「ダークパターン」に該当する。
ダークパターンとは、「Webサイトでユーザーが無意識に不利な行動を取るように設計された、悪意のあるデザイン」を指す。まだ日本では事件化していないが、米国ではすでに数百億円規模の賠償を命じられた企業も存在する。コールセンターが解約の受け皿となっている以上、こうした声を受け取る機会も多いはずだ。経営やWeb企画部門への「提言」として、その改善に貢献できる部署といえる。
図 「実際に購入等につながったり、困ったりしたもの」の割合(年齢層別)
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