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2023年8月号 <インタビュー>

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クリシュナ・マンダ 氏

テクノロジーで「働く環境」をカイゼンする!
ESなくして真のサービス提供は実現しない

メットライフ生命保険
執行役員
カスタマーケア・収納保全グループ長
クリシュナ・マンダ 氏

メットライフ生命保険のクリシュナ・マンダ氏は、カスタマーサービスの現場を見て「真に寄り添う対応を追求し、新たなCX(顧客体験)を創造するには、まず第一に働く環境に関するオペレータの要望を叶え、顧客対応に集中できる状態に改善せねばならない」と強く感じたという。具体的な改善方法について聞く。

Profile

クリシュナ・マンダ 氏(Krishna Manda)

メットライフ生命保険 執行役員 カスタマーケア・収納保全グループ長

タタコンサルティングサービス、GEなどを経てスタンダード&プアーズグローバルレーティングカンパニー社ニューヨークオフィスにてグローバルヘッドとしてオペレーション及びソリューションデリバリー部門を率いる。19年テクノロジーサービス執行役員としてメットライフ生命保険入社。20年にカスタマーケア部門を統括、21年から現職。

──生命保険業界の現状と課題をどのように捉えていますか。

マンダ 全国民の8割が生命保険に加入し、市場は飽和状態にあります。そのため、万が一の備えだけでなく、加入者の健康管理や資産管理を支援するなどサービスの多様化も進んでいます。とくに高齢化が進む日本では、お客様に寄り添う姿勢やホスピタリティに対するニーズが強いと感じます。

 私たちは『ともに未来へ・・・For Our Happiness And Customer Success』を合言葉に掲げ、顧客対応を追求してきました。その結果、お客様満足度調査(CSAT)では約9割(2023年上期平均)のお客様にご満足をいただくまでになりました。

 働きやすい職場作りとホスピタリティをより追求することで、継続的なお客様との信頼関係を構築したいと考えています。

人の力に依存する体制に限界
テクノロジー推進がスキル発揮を扶助

──そのための具体的な取り組みをお聞かせください。

マンダ お客様にとって価値のある真のサービスを提供するためには、従業員が働きやすく、誇りを持てる職場づくりが必要です。例えば、お客様対応に必要なナレッジが自動的に抽出されることや、応対ログを自動的に入力するシステムの導入で、オペレータはお客様との会話に集中できます。不要なルールやマニュアルを撤廃し、自由な発想によりホスピタリティを発揮することもできます。私は、2019年にテクノロジー部門の責任者として当社に参画し、翌年からサポート部門に携わっています。着任してからは、通話のモニタリングを欠かさずに行ってきました。不安から涙声で話すお客様が、オペレータと会話をすることで落ち着きを取り戻す様子を聞き、オペレータの高い共感力を実感すると同時に、求めるべきスキルとは「ホスピタリティ」だと確信しました。

 保険の知識やPCスキルは、ITの力を借りて補完できます。こうしたテクノロジー環境を構築することで、オペレータがスキルを遺憾なく発揮して真のサービスを提供する。これこそが、革新的なCXを生み出すことにつながるはずだと考えました。

──いち早く在宅化を実現したのも、一連の取り組みの一環でしょうか。

マンダ コールセンターの業務でコロナに感染するかもしれない。そんな思いを持ちながらお客様対応をしていては、本来のパフォーマンスは発揮できません。こうした不安は、お客様にも伝播します。

 オペレータの不安を払拭して、安定したサービスを提供し続けるために、20年2月、感染症流行の兆しを察し、すぐに在宅化を進めました。当時は貸与するヘッドセットが足りず、米国本社に掛け合い約500個を空輸にて調達したこともありました。こうした経験が、後にテクノロジー活用を推進する好機にもなったと感じます。

(聞き手・荒木 世理子)
続きは本誌をご覧ください

 

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