「コンフリクト・マネジメント」のカギは顧客志向が握る
ISラボ 代表 渡部弘毅
ここ数カ月は仕事を結構頑張ったので、少し実入りが多く、ブルブル振動ダイエットマシンの購入を狙っている、わたちゃんです。でも、カミサンはローンの繰り上げ返済を狙っているのです。
企業の職場においては、組織間や個人間での競合、対立、衝突、葛藤といった、いわゆる「コンフリクト」は必ず発生します。企業としてのビジョンや方針、目標が明確に存在しシェアされている企業においても、具現化された行動レベルになると組織や個人の考えレベルでは違いが発生し、業務を推進する際にはコンフリクトは必ず存在します。むしろ、コンフリクトがあることが正常なのです。
一方で、コンフリクトが感情的な対立まで発展すると、職場がギスギスした雰囲気になり目覚ましい成果や画期的な発想が困難になってきます。とくに、“和を以て貴しとなす”文化が根強い日本では、波風を立てないように自分の意見を抑えようとする風潮もあります。昨今では「忖度」という言葉もよく聞きます。
しかしながら、こうした和を尊重し過ぎしたり、忖度が横行する組織に成長はありません。コンフリクト・マネジメントとはコンフリクトをプラスに捉えてマネジメントしていくことです。コンフリクトは、組織が変革を推進している証拠であり、感情的な対立を抑えたマネジメントさえできれば、組織によい変革をもたらします。
そのためには、オープンな場で感情的なぶつかりを避けた前向きな議論をしていくことが重要になります。そして、この「感情的なぶつかりにならないようにする」というのが最も重要なマネジメントテクニックと言えます。
一般的には、(1)変革のためにはコンフリクトは重要であるという認識を組織全体でシェアする、(2)誰が正しいか、あるいはどちらが正しいかといった議論は避け、何が正しいかという議論をする、(3)上司は積極的に参加、率先してオープンな場で協調的な解決策を議論する──といった手法が重要と言われています。
これに加えてコールセンターや顧客接点業務固有の議論・解決策としては、「お客様にとって何が重要か?」ということを常に問い続けることです。組織間や個人間では利益が対立することがしばしばあります。「この業務をどちらでやるべきか?」といったことがそれに当てはまります。お互いに忙しい組織や個人が業務量の負担が増えることは避けたくなります。そんな時には「何をすればお客様の利益につながるか?」という発想に基づきお客様志向の議論をすることで、協調した新しい案が生まれます。コンフリクト発生のプラス面を認識し、前向きに解決して、お客様、企業、組織、個人にとって利益のある解決策を考えましょう。
ということで、我が家のコンフリクトもプラスと受け止め、前向きに解決策立案を試みたのですが、協調案が出てこないことと、「何が正しいか」を突き付けられ繰り上げ返済となりました。コンフリクト・マネジメントの失敗例と言わざるを得ません。
図 コンフリクト発生時の5つの態度