「ファンを創る」顧客対応へ
現場参画型のマネジメントを主導
DHLジャパン
カスタマーサービス本部
大阪カスタマーコンタクトセンター センター長
梁川 昌代 氏
Profile
梁川 昌代 氏(やながわ・まさよ)
1994年、DHLジャパンカスタマーサービス本部入社。コンタクトセンターとセールス部門を経て再度、同本部へ戻り、2016年に現職に就任。センターの応対品質、生産性向上および、売上貢献などさまざまな活動を継続的に行っている。
対応した顧客をファンにする──文字にすると簡単だが、顔の見えない「接客」である電話対応でそれを実践するのは難しい。とくに、本社と遠く離れた地方拠点では、単にノウハウを教えるだけでなく、“文化の醸成”まで実践するリーダーシップの存在が大きなカギとなる。
国際運輸大手の1社、DHLジャパンの梁川昌代さんは、同社の大阪カスタマーコンタクトセンターのセンター長だ。梁川さんは、「“次もこの人と話したい!”という対応を目指して」というスローガンのもと、ファンを増やすための顧客体験提供を図るための取り組みをリードしている。とくに、実際に対応するスタッフ(アドバイザー)に対しては「やる気のある人材の育成が重要」(梁川さん)というように、教育に大きな力を割いている。
「気づき」を重視した育成
顧客視点で考える機会をつくる
人材育成においてとくに重視しているのが、「気づき」を促すためのコーチングだ。スーパーバイザーとのフィードバックセッション、毎月の品質評価、アドバイザーも参加したうえでのミステリーコール、同じく“体験型”の顧客満足度調査の実践など、顧客視点で考える機会の提供に努めている。
ポイントとして、梁川さんは「指導ではなく支援する」「一方的に伝えるのではなく聴き、受け入れる」「アドバイザーに関心を寄せ、話を促し、一緒に取り組んでいく姿勢、言動をする」の3点を強調。顧客満足や、その他のKPIが自分たちの仕事とどのように結びついているかを理解し、毎月のコーチングにおいて各自の目標と結果の確認、自身の強みと課題を確認して次の行動につなげていくサイクルを回すという、“基本的ながらも継続するのはしんどい”業務を反復している。
結果、顧客からは「快く対応してくれる」「とても親切に対応していくれるので満足している」という声が増え、スコアも上昇。それだけでなく参加意識を強めたことでスタッフの定着率が向上し、2013年に26%ほどもあった離職率は、2017年に約8%まで低減している。グローバルで実施している社員意識調査における「アクティブリーダーシップ」のスコアは、2013年の78%から2016年で97%に向上。「チームワーク」に至っては同86%から100%を達成している。
DHLの“カスタマーサービスを重視するDNA”は、拠点の距離を越えて成熟している。梁川さんの取り組みと成果は、それを体現したものといえそうだ。