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富士通、チャットボットを軸とした新ソリューション「CHORD SHIP」をリリース

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富士通は、顧客接点を高度化するソリューション「CHORD SHIP(コードシップ)」をリリースした。

「心の琴線」という意味を込めて名付けられた同ソリューションは、AI(人工知能)を活用、自動対応するチャットボット機能を持つ。大きな特徴は、独自のAIエンジンである「対話・機械学習ハイブリッド型」を搭載するSaaS型サービスである点だ。

顧客接点におけるチャットボット活用は、急速に進みつつある採用難・人材不足を背景に急速に普及しつつあるが、依然として「回答の精度」「コスト(ROI)」に大きな課題を抱えている。とくに、AIブームの背景となっているディープラーニングは、膨大な教師データの存在が前提となるが、多くのコールセンターに蓄積されているFAQは、精度・量ともに不足しているのが現状だ。


富士通の執行役員でグローバルサービスインテグレーション部門デジタルフロントビジネスグループの今田和雄副グループ長は、「数百程度のFAQではディープラーニングは難しい。対応履歴にしても、コールセンターの現場は多忙かつ人手不足が深刻で、精緻な履歴までは残せない」と現状を分析。



対話・機械学習ハイブリッド型AIは、同社がすでに保有している1200万語の同義語辞書と企業ごとの専門用語辞書を組み合わせて、言葉の「ゆらぎ」を吸収する仕組み。すでに運用開始した3社の事例(オリコ、タスカジ、川崎フロンターレ)が紹介されたが、多いケースでも数百程度のFAQをベースに実用に踏み切っている。

同社の調査によると、他社のディープラーニング技術を活用した事例では、表示された回答のうち上位5項目内の正答率は高くても50%程度だが、対話・機械学習ハイブリッド型では80%以上の正答率を記録したという。今田氏は、「グループ企業を中心に、20年、600社以上のコンタクトセンター運営実績をベースにした実践知を活かした技術」と強調した。

さらに、事例を積み重ねることで「業種ごとのテンプレート的な辞書も作成する」(デジタルフロント事業本部カスタマーエンゲージメントソリューション室の生川慎二シニアマネージャー)方針だ。

また、今田氏は「すべての回答をチャットボットだけで完了するのはまだ難しい。電話、メール、チャットなど、有人対応へのエスカレーション体制の整備が必要」と強調。そこで、同社ではグループ会社の富士通コミュニケーションサービスを中心に「AIチャットセンター」も開設。チャットも含めた有人対応によるBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスを組み合わせた“一気通貫型サービス”を展開する。


同社は、今年5月、デジタル・イノベーション推進を目的としたさまざまな施策を発表。デジタル化の潮流を(1)産業・事業のデジタル化、(2)顧客関係のデジタル化、(3)組織・働き方のデジタル化、(4)社会・経済のデジタル化の4領域に分類し、それぞれのソリューション提供を進めている。その中心となる人材が『デジタルイノベーター』で、プロデューサー、デザイナー、デベロパーの3フェーズで構成される。


同社執行役員常務の宮田一雄氏は、「7月から、デジタル・ブートキャンプという育成プログラムを実践している。初年度200名、2年目、3年目には各500名の育成を目指す」と説明。CHORD SHIPの導入支援にもデジタルイノベーターが活動する予定だ。




CHORD SHIPは、チャットボット本体である「Digital Agent」が月額28万円から。コンサル・導入支援、有人チャットや稼働後の支援は個別見積もり。2020年度末までに350億円の売り上げを目指す。


<導入事例>
 
家事代行・家政婦マッチングサービス「タスカジ」のチャットボット呼び出し画面。サイトのトップ画面で左下の「お困りごとはこちらへ」をクリックすると「タスカッポーギ」というキャラクターが登場してチャットで会話できる。


Jリーグの川崎フロンターレのモバイル画面。クラブ公式キャラクター「ふろん太くん」との会話が楽しめる。

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