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2017年6月号 <リーダー・オブ・ザ・イヤー 2016>

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下山 ひろ子 氏

人材育成のプロフェッショナルの秘訣
「100%、味方」の姿勢を貫いて聞く

情報工房
ヒューマンリソース部門
ディレクター・ビジネスコーチ
下山 ひろ子 氏

Profile

下山 ひろ子 氏(しもやま・ひろこ)

2004年「コンタクトセンターのコミュニケーターにこそ、コーチングが必要」と情報工房の専属コーチに就任。独自の育成メソッド(植木鉢理論)を確立し、有意性を実証した。また、他企業へもノウハウ移転を実施、コーチングを幅広く、多くのセンターに普及させている。国際コーチ連盟(ICF)プロフェショナルコーチ。

 NTT在籍中の2002年にコーチの資格を得て、2004年から大阪を拠点とするアウトソーサー、情報工房の専属コーチとして勤務している下山さん。現在は国際コーチ連盟(ICF)の資格を有するトレーニングの「プロ」である。

 コンタクトセンターのコーチングだけで8000時間以上を費やし、独自の育成メソッドを確立している。下山さんは、「情報工房に入社した当初のミッションは、離職率低減でした。当時は20%くらいで推移していましたが、コーチングを強化することで5%以下に抑え、継続できています」という。

 下山さんのコーチングとは、「話を聞く、観察する、ケアする」の繰り返し。面談を繰り返すマネジメントは数多いが、下山さんの姿勢は「“100%、あなたの味方”というスタンスを崩さないで話を聞く」ことと強調する。

 最初は、現場のマネジメントもオペレータも疑心暗鬼だった。「専属コーチ(下山さん)が接点を持つことで、直属の上司との接点が減る」と不安を持つマネジメントも多かった。また、ベテランのオペレータからも「どうしてそこまで自己開示しないといけないのか」という不満の声が上がった。

 しかし、1年も経つと現場のマネジメントから「あのオペレータのコーチングをお願いします」と依頼が入るようになり、ベテランも新人オペレータが楽しそうに仕事をする姿を見て「私も受けてみたい」と認めるようになったという。

繁忙期でも育成の時間を確保
「5%ルール」の絶大な効果

 コールセンターの育成担当者にありがちな悩みは、「何を、どのくらい実行すればいいのか」という具体的な指針があまりないことだ。そこで情報工房では「5%ルール」という育成の枠組みを構築した。1カ月の勤務時間の5%(約7.5時間)を計画的に確保し、スキル教育(トレーニング)と対話(コーチング)に充てる」という取り組みだ。

 結果、繁忙期になるとないがしろになりがちだった育成が、計画的に実行できるようになったという。離職率が低減するだけでなく、モニタリングスコアまで上昇し品質も向上。それまであまり理解を示さなかったクライアントやマネジメントも賛同を示した。

 下山さんの教育メソッドは、さまざまなクライアント業務に横展開され、同社のみならずコールセンター業界への貢献も果たしつつある。次世代の担い手育成が「今後の課題」と語った。


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