荒川 勝也 氏
副社長 執行役員
<コーナー解説>
ITソリューションベンダーのキーマンに製品・販売戦略を聞きます。
Kore.ai Japan
AI投資のリスクを軽減するプラットフォーム
「高精度認識」を維持するマルチベンダー型で提供
企業PROFILE
所在地:東京都港区虎ノ門4-1-1、神谷町トラストタワー 23F
代表者:スリニ・ウナマタラ エグゼクティブ・バイスプレジデント アジア太平洋 兼 日本社長
設立:2020年10月
資本金:2500万円
従業員数:20人
URL:kore.ai/jp/
超採用難時代のいま、「いかに既存の体制での運営を継続するか」という観点で、応対自動化に取り組むコンタクトセンターは多い。「ただし、効果を創出するには、音声認識と意図理解の両方が高精度であることが大前提です」と指摘するのは、Kore.ai Japan 副社長 執行役員の荒川勝也氏だ。
Kore.ai Japanは、SaaS版会話型AIプラットフォーム『Kore.ai カスタマーエクスペリエンス XO Platform』を開発・展開する。日本でも既に大手の金融、小売り、製造、BPOへの導入実績を持つ。
まず、音声認識は入力インタフェースとして、何をおいても認識精度が求められる。同様に、意図理解の精度も「顧客が何を求めているか」に基づいた回答、あるいは処理を実行するうえで重要だ。
現在、さまざまなベンダーがAIエンジンを投入しており、自社業務に最適なものを選ぶのは至難の業だ。荒川氏は、「また、現状では合わないモデルでも飛躍的に精度向上したり、突然、高性能なエンジンが出現する可能性があります」と説明する。企業としては、チャット/ボイスボットを構築した後にエンジンを入れ替える「二重投資」は避けたい。
荒川氏は、「当社のプラットフォームなら、エンジン選定のリスクを背負うことなく、自動応答を構築できます」と強調する。音声認識は、マルチベンダーを採用。現状は、アドバンスト・メディアやGoogle、Microsoft、NVIDIAなどのエンジンからタスクごとに選択できる。なお、エンジンは、市場動向やニーズに応じて追加する。意図理解は、3つの異なるモデルをベースにした独自のエンジンをハイブリッド稼働させることで、1つのエンジンでは理解が難しかった複雑な会話への対応を可能にした。
「システムと一蓮托生では、CXを実践し続けることは難しい。最適なテクノロジーを選択して使うための支援をしていきたい」(荒川氏)。また、ボイスボットの用件振り分けへの活用を提案。カスハラ案件の削減効果も期待できるという。荒川氏は、「従業員を大事にするという観点でも、AIをうまく使うことが重要」と示唆する。
自動化の範囲が拡大する一方で、オペレータが対応すべき応対も残るはずだ。荒川氏は、「生成AI活用によるオペレータの応対支援システム構築を後押ししたい」と方針を述べる。具体的には、GALEという、企業ごとに個別のカスタムLLM(大規模言語モデル)を簡単に構築できるツールキットを持つプラットフォームを新たに開発中だ。新プラットフォームでも、開発方針である「マルチモデル」を採用する予定。