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本誌記事 トレンド カスタマーサクセス実態調査Ⅱ

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Trend 連載

約60%が新規獲得と継続利用を実感
サクセス部門の「効果」もたらす施策

──バーチャレクス・コンサルティング

カスタマーサクセス部門の設置と取り組みがもたらす収益へのインパクトは決して小さくない──バーチャレクス・コンサルティングの調査では、カスタマーサクセスに取り組んでいる層の約60%が新規売り上げ、継続売り上げで「向上した」と回答している。前号に引き続き、同調査の結果を抜粋、検証する。

 カスタマーサクセスの取り組み企業の多くはBtoBで、かつSaaSサービスを提供しているIT企業だ。従事者人口は増えていると推測されるが、歴史が浅く、かつ定義に運用企業ごとのバラつきがあるため、その「実態」が見えにくい。

 そこで、前号に引き続き貴重な国内での調査資料であるバーチャレクス・コンサルティングが実施した実態調査から結果の一部を抜粋、検証する。なお、同調査は2019年から毎年実施されている。

サクセス部門の創設が
売上高、利益双方に好影響

 カスタマーサクセス組織の目的は、大きく(1)オンボーディング(導入支援)、(2)アダプション(利用の定着支援)、(3)エクスパンション(拡大利用)に分けられることが多い。その成果として「顧客の成功」をもたらし、結果的に自社の収益向上につながる。

 図1は、カスタマーサクセスに取り組んでいる、取り組んでいないそれぞれの層に対して、新規売り上げと継続売り上げの推移を聞いた結果だ。いずれも、カスタマーサクセスに取り組んでいる層の約60%が「増加した/上がった」と回答している。カスタマーサクセスへの取り組みが自社の収益向上に貢献している回答企業はかなり多いことが推察される。

図1 [2023年]直近一年間の売上推移

図1 [2023年]直近一年間の売上推移

※画像をクリックして拡大できます

 なお、カスタマーサクセスの取り組みについて効果を感じている層、感じていない/どちらとも言えない層のそれぞれに、取り組み前後の売り上げ変化についても聞いているが、効果を感じている層(276人)のうち、77.2%が「向上したと感じる」と回答。感じていない/どちらとも言えない層は29.9%にとどまった。利益率についてもほぼ近い数値となっており、効果的な運用が収益に直結しやすい取り組みであることがある程度、実証されたといえそうだ。

 バーチャレクス・コンサルティングの常務執行役員、ビジネスインキュベーション&コンサルティング部長の森田智史氏は、「きちんと組織的な取り組みとして実践すれば、お客様の成功につながり、結果的に継続やアップ/クロスセルで収益増になるということ。BtoBのスタートアップだけではなく、BtoCや大企業でも効果を実感しているという声も出ています」と説明する。

サクセス部門成功の前提と土台
「カスタマーサポート」の強化

 図2は、直近1年で顧客に対して新たに始めた/強化した取り組みについて聞いた結果だ。「メール/チャット等でのサポート機能提供」が「カスタマーサクセス効果を感じている」「感じていない/どちらとも言えない」層の両方でトップ。以下、「ブログ記事やホワイトペーパー等のオウンドメディア上でのコンテンツ提供」と、テックタッチ領域の取り組みが上位となった。FAQや動画コンテンツの提供、顧客の声/要望の収集など、従来からコールセンターなどのカスタマーサポート部門が取り組んできた業務の回答比率も高い。

図2 [2023年]直近一年で新たに始めた/強化した取り組み(複数回答)

図2 [2023年]直近一年で新たに始めた/強化した取り組み(複数回答)

※画像をクリックして拡大できます

 森田氏は、「カスタマーサクセスの前提としてカスタマーサポートの強化は不可欠。そもそも不平不満を抱えている顧客に継続利用や拡大利用を働きかけても無理な話で、サポートはサクセスの土台として位置づけるべき」と強調する。

 カスタマーサクセスの成果を出すには、サポート機能の充実と両部門の連携という組織的な取り組みが欠かせないと推察できる。

(2023年11月号 月刊「コールセンタージャパン」掲載)

 

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