<コーナー解説>
ITソリューションの導入に関し、背景や動機、選定要素と運用ポイントを聞く事例記事です。
NTT東日本-南関東
無駄な機器交換/配送、要員派遣を減らす!
リモートサポートツールの絶大なる「経営効果」
NTT東日本-南関東のテクニカルサービスセンタでは、NTT東日本のフレッツ光(インターネット接続サービス)などのテクニカルサポートを担当。ユーザーには、デジタルに詳しくない高齢者も多く、応対時間が長引くことによる顧客の負担増を問題視していた。
コロナの感染が拡大し、自宅での回線利用が増加。それにより、サービスへの問い合わせ数も増えた。トラブルを自己解決したいという新しいニーズも出てきたことで、スマートフォンのカメラ機能を活用する「リモートアシストツール:RAT」の開発を決定。2021年から同社の全拠点での運用を開始した。
新しいツールの活用に対し、オペレータからは戸惑いの声があったものの、勉強会の実施やトークスクリプトの用意、さらに顧客が利用した事例を共有するなどして、センター内での活用を促進させた。その結果、RATを利用しての問題解決は41%を達成。残りの59%でも、最もコストのかかっていた修理担当者の派遣業務の軽減に貢献。事前の映像確認により、作業時間の短縮といった生産性向上に寄与している。
今月のPOINTS!
■システム概要
NTT東日本-南関東(東京都港区、熊谷敏昌代表取締役社長)は、スマホのカメラと通話機能を活用した「リモートアシストツール:RAT」を自社開発。顧客が撮影した映像を、クラウドネットワークを経由してオペレータの端末と共有し、遠隔にて操作を支援。
■選び方のポイント
顧客の負担を軽減し、顧客が簡単に利用できる、鮮明な映像の取得の条件を満たす仕組みとして、スマホで通話と映像が、同時に行えるツールを開発。短期間かつ、仕様変更を柔軟に行えるアジャイル開発により、導入決定から半年ほどで全拠点運用を開始した。
■使い方のポイント
NTT東日本の「フレッツ光」では、配線や機器類の設定が必要。知識が乏しいユーザーにとっては負担が大きく、オペレータによる通話のみの説明では伝わりにくい。スマホのSMSを利用して専用URLを送信。映像を共有することで、説明の分かりやすさを追求。訪問修理の際も、事前の故障箇所の絞り込みにより、作業時間の短縮につながっている。
右からテクニカルサービスセンタ 田中 稔氏、髙橋千代氏
図 顧客の撮影した映像から利用状況を確認