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本誌記事 ケーススタディ RevComm

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Casestudy ケーススタディ

RevComm

「サクセス」のゴールを顧客と共通言語化
アップ/クロスセルを重視した経営貢献組織

カスタマーサクセス──「顧客の成功」とは何なのか。その定義は各社、あるいはマネジメントごとに異なる傾向が強い。IP電話ソリューション「MiiTel」をクラウドで提供するRevCommのカスタマーサクセスチームは、「クライアントとのゴールの共有」を徹底。そのうえでMiiTelの拡大利用を提案するアップ/クロスセルを展開し、実績を積み重ねている。

中村有輝士マネージャー
カスタマーサクセス部の中村有輝士マネージャー

 IP電話、自動録音、文字起こし、IVRやCRM連携など、企業の電話窓口に必要なさまざまな機能を提供するクラウド・ソリューション「MiiTel(ミーテル)」。コールセンター以外にも営業部門やインサイドセールス部門など、幅広い用途で利用されている。

 MiiTelを提供するRevCommのカスタマーサクセス部Enterpriseチームの、中村有輝士マネージャーは「サクセス部門は26名で、エンタープライズ(従業員規模2000名以上)、SMB(中小企業:2000名未満)の大口顧客担当、テックタッチ(中小企業:2000名未満)の大口顧客以外の担当、プランニング(企画)の4チームで構成しています」と説明する。

 ハイタッチ支援を提供する大口顧客の目安はライセンス数で、10IDを設定している。それ以下の顧客対応は原則としてウェビナーなどの動画によるテックタッチと、トラブルシューティングを担うカスタマーサポート部門で支援している。

 サポートチームは、メールやチャットで顧客の不具合や機能面の問い合わせに対応する、いわば「受け身」の組織。一方でサクセスチームは積極的に電話などで使いこなしノウハウを提供するプロアクティブな組織だ。ただし、顧客接点という意味では同じなので、情報連携は強化している(図1)。

図1 カスタマーサクセスとカスタマーサポートチームの連携

図1 カスタマーサクセスとカスタマーサポートチームの連携

※画像をクリックして拡大できます

定量的なKPI以上に重視する
「ミッション/バリュー」の浸透

 業務フローの一例を図2に示す。リードの創出から架電、商談創出、商談、成約、継続/アップセルという流れのなかでKPIを細かく設定しているが、カスタマーサクセス部内においてハイタッチを担うスタッフが重視しているKPIはシンプルで、「アップセル/クロスセルの金額」「チャーンレート(解約率)」だ。

図2 カスタマーサクセスの業務フロー例

図2 カスタマーサクセスの業務フロー例

※画像をクリックして拡大できます

 また、ミッション/バリューの浸透を徹底している。「2020年の夏くらいまで、人数は今よりも少なかったのですが、各人の考えや行動がバラバラでした。そこで当時のメンバーが集って、ミッションとバリューを制定。現在も週に1回のチームミーティングで冒頭に読み合わせまで実施しています」(中村マネージャー)という。

 ミッションは、「信頼できるパートナーとして顧客のミッション達成を支援する」などの3点、バリューは「顧客の一番の理解者であり、最良の相談相手になる」など4点。各チームでのミーティングにおいても、ミッション/バリューに沿った動きが具体的にできた点などを共有している。「チームミーティングだけでは時間も機会も限られるので、週に1回、ナレッジ共有会を開催してうまく支援できた事例やうまくいかなかったケースの共有を図っています」(中村マネージャー)。

顧客の成功とは何か──
担当者とのイメージ共有がキモ

 すべてのカスタマーサクセス部門における「宿題」といえるのが、「顧客(クライアント)のサクセス(成功)」の定義である。クライアント企業の収益が伸びたとしても、提供しているソリューションやサービスの「貢献度」の可視化は容易ではない。

 中村マネージャーは「その点は新しいメンバーなどがかなり戸惑う部分だと思います」としたうえで、ポイントは「契約初期段階での細かいヒアリングの実施」と強調する。

 MiiTelは、電話の仕組みを提供するサービスだ。多機能は売りだが、存在して当たり前のデバイスなだけに、明確な改善のゴールを設定することは意外と難しい。

 そこで導入部門のKPIやミッションを細かくヒアリングすることはもちろん、「担当者の役割やミッションまで聞き取り、達成することにフォーカスした提案をどこまでできるか。導入前の課題と導入後の姿を言語化し、サクセス担当者とお客様企業の担当者が共有することがポイント」(中村マネージャー)と、“ゴールの設定と共有”の徹底を図る。

 アップセル/クロスセルという売り上げ寄与を重視しているのも、この「ゴールの共有」を明確化したいという狙いが背景にある。MiiTelは、1IDから利用でき、増減もユーザーが柔軟にコントロールできる。サクセス部門の成果は、多くのSaaSソリューションのような年間契約の更新ではなく、大げさにいえば「月単位」のライセンス数で測定できるということだ。

 ゴールが達成できれば、継続はもちろん、ライセンス数の増加というエクスパンション(拡張)も期待できる。「満足していただいたお客様に他部署を紹介いただくケースもあります」(中村マネージャー)。クライアント担当者との「成功」イメージの共有がKPIマネジメントの基盤といえそうだ。

(2023年8月号 月刊「コールセンタージャパン」掲載)

 

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