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本誌記事 インタビュー STORES 陣山 一樹 氏

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People インタビュー

セールス、サクセス、サポート──
顧客体験を分断しない組織作りの要諦

カスタマーサクセス部門の設置企業が標榜することが多い、専門組織による分業体制「THE MODEL」。スペシャリストによる「特別な体験」を志向できる一方、プロセスごとに顧客体験が分断する可能性もある。STORESは、セールス、サクセス、サポートの各組織の連携を強化。一貫した体験品質の提供を図る。

陣山 一樹 氏
STORES
カスタマサクセスマネージャー
陣山 一樹 氏
SIを経てインフォマートへ2010年から参画、既存ユーザー向けのオンボーディングおよび安定稼働のための業務構築を行う。日本オラクルを経て2020年12月にSTORES へ入社。サービス事業部門におけるカスタマーサクセスのGMを担当。オンボーディング、アダプション、リテンション、クロスセルまで幅広い業務設計を行う。

──STORESのカスタマーサクセス組織について教えてください。

陣山 STORESは、「お店のデジタル化を支援する」ための5つのプロダクト(ネットショップ開設、キャッシュレス決済、POSレジ、ネット予約システム、店舗アプリ作成)を提供しています。カスタマーサクセス組織は、現段階ではプロダクトごとに紐づいており、私はそのなかで「STORES予約」を担当しています。

──プロダクトごとに組織を分けている理由は。

陣山 STORESは、経営統合によりプロダクトを増やしてきた経緯があります。まずはそれぞれのプロダクトのスペシャリストを育成することに集中してきました。カスタマーサクセス部門は、運用コンサルに近いスキルが求められるので、各人がそのプロダクトのプロフェッショナル集団に成長しなければなりません。現在は、その成長過程にあると判断しています。

 ただし、今年からは、複数のプロダクト活用していただくクロスユースの推進に着手する方針なので、カスタマーサクセス部門も対応しないといけないと感じています。ちなみに、トラブルシューティングなどを担当するカスタマーサポート部門は、すでにプロダクト横断型の組織です。

カスタマージャーニーは途切れない!
チーム間連携の強化に余念なし

──STORES予約の部門構成を教えてください。

陣山 事業企画/セールス/カスタマーサクセスというグループ構成です。セールスはインサイドセールスとダイレクトセールス、カスタマーサクセスはオンボーディングとリレーションズにチーム分けし、いわゆる各プロセスを専任化した「THE MODEL」型です()。

図 各プロダクトごとにカスタマーサクセスが存在

図 各プロダクトごとにカスタマーサクセスが存在

※画像をクリックして拡大できます

 サクセスチームは、オンボーディングやアクティブ化支援、リレーションズはリテンションやアップセル、エクスパンションと役割を分けてそれぞれのKPIを設定するとともに、離反防止を共通の目的としています。

──セールスからサクセスグループに、あるいはオンボーディングからリレーションズチームにという、案件の受け渡しに工夫している点はありますか? 顧客からすれば、いちいち担当者が変わることによる不満も生じそうです。

陣山 セールスグループからのトスアップ(受け渡し)については、商談初期の段階から、「ご契約後はさらにプロダクトに詳しいプロフェッショナルがご支援します」とセールスのスタッフが強調してくれています。そのサポート体制に魅力を感じて契約されるお客様も多いので、(担当が変わることによる)ご不安やご不満は生じていません。ただし、チーム間の情報連携がうまくいかないケースではお客様にご迷惑をかけてしまうこともあるので、情報連携方法の改善は常に意識しています。

 サクセスグループ内のオンボーディングチームからリレーションズチームへのトスアップも同様で、お客様のセグメント(業種や規模など)に基づいて慎重にミーティングを重ねながら対応しています。

──規模とは、御社のプロダクトの利用数という意味でしょうか。

陣山 業種や規模、MRR(Monthly Recurring Revenue:月次経常収益)で判断することはもちろんですが、加えていわゆる「伸び代」も大きな判断材料です。オンボーディング段階で事業の成長戦略などを詳細にヒアリングさせていただき、お客様のビジネスが拡大する可能性をもとに伸び代が大きいと判断した、“ライジングスター”もセグメント要素としています。

──カスタマーサポート部門との連携について教えてください。

陣山 トラブル対応や操作、設定はもちろんカスタマーサポート部門が担当しますが、運用に関わる、つまりマニュアルで対応できない問い合わせについてはサクセスグループに社内チャットで連絡がきて、トスアップされます。この連携は強く意識しています。確かに、カスタマージャーニーマップにおいては、お客様にとっても私達にとっても担当の判断が難しいかもしれませんが、連携さえ強化されていれば、お客様のストレスはほとんどないと感じています。

 なお、ナレッジツールの運用においても、例えばチャットボットは昨年、カラクリのソリューションを採用したのですが、これはサポートチームとサクセスチームがプロジェクトチームを作って導入を進めました。

業界共通の課題!?
オンボーディングチームのKPI

──KPIについて教えてください。

陣山 サクセスグループ全体としてはチャーンレート、MRR、アクティブユーザー数を設定しています。リレーションズチームはこのKPIで評価できるのですが、難しいのはオンボーディングチームで、これは日本のサクセス組織全体の課題ではないでしょうか。当社の場合、「一定期間内のオンボーディング完了率」をKPIとしていたのですが、それはもはや達成して当たり前になってきたので、定着後まで見据えた「アダプション完了率」の導入を検討中です。

 オンボーディング完了率は、ログインしているか、画面設定が適切かなど約20項目のチェックリストのすべてがついた時点で達成。アダプション完了率も同様のリストを構築する方針です。

 

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