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本誌記事 ケーススタディ unito

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Casestudy ケーススタディ

unito

「BtoB&C」のカスタマーサクセス
コロナ禍で成長した賃貸サービスの基盤を支える

約3年間におよぶ新型コロナ禍では、在宅シフトを背景に、都市部から多くの人口が流出。不動産物件に空室が増加するとともに、ホテルおよび民泊業界も苦戦を強いられた。その変化したニーズを巧みに捉え躍進しているのが、「帰らない日は家賃がかからない」賃貸サービス「unito」だ。急成長を遂げる同社を支えるカスタマーサクセス部門にそのポイントや課題を聞いた。

辻 尚也氏
unito カスタマーサクセス 辻 尚也氏

 東京都への人口の流入は、コロナ前の2019年度は前年比8万3455人増であったが、21年度の上半期(4〜9月)は同8756人減と流出に転じている。

 苦境に立たされたのは、都市部の不動産賃貸各社だ。しかし、そうしたなかでもビジネスチャンスは存在する。コロナ禍真っ只中に登場したのが、「帰らない日は家賃がかからない賃貸サービス」を訴求する「unito」だ。

 事業主(オーナー)は、住民が部屋を使用しない日に、観光用途などの短期宿泊客に民泊施設として貸し出し、利益の最大化を図る。例えば、1カ月平均22日滞在する長期宿泊者とunito経由で契約、基本的な稼働率を担保し、住民(長期宿泊者)の不泊日には短期宿泊者を集客する(図1)。住民は、アプリ上で帰らない日を申請しておけば、その分の家賃を節約することができる。部屋には住民が不泊日に荷物を入れる収納ボックスが設置されている。「マンスリー/ウィークリー賃貸物件+民泊」の仲介業といえそうだ。

図1 リレント(Re-rent)の仕組み

図1 リレント(Re-rent)の仕組み

※画像をクリックして拡大できます

1年で売上倍増の急拡大
支えるサクセス人員は4名

 売り上げは急拡大しており、利用者も急増している。

 成長の原動力となったのが、同社のプラットフォーム事業部(カスタマーサクセス部門)だ。現段階では4名の少数精鋭だが、物件在庫の増強、広告出稿から顧客対応、契約書の作成〜契約、アフターケアまで業務内容は多岐にわたる。

 対象顧客は、不動産物件を貸し出す側のオーナーと、物件利用者である賃貸契約者の双方。都心近郊の実家や持ち家などに居住しながら都内に勤務するときだけ都心の「unito」を利用するケースや、在宅勤務で週に数回、通勤する日だけ利用する会社員が多い(図2)。

図2 unitoの利用用途

図2 unitoの利用用途

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 主なミッションは、商品である施設の獲得、そして契約の成約だ。いわゆる不動産賃貸の仲介事業者にあたる業務を行っているが、一部屋の契約者が複数存在し入れ替わりも激しいなど、通常の賃貸業務と異なる点も多く、より細やかな対応が求められる。成長の鍵は、「リピーター」の獲得にかかっている。そこで、とくに施設使用法やルールを事前にオーナー側に確認し、オーナー/利用者双方の疑問や不安を解消しておくことが欠かせない。

情報収集〜問い合わせまで
LINE窓口で敷居を下げる

 利用者数を最大化し、継続利用を増やすために行っているのが、広告出稿とLINEの利用だ。広告でLINE登録者数を増やし、LINE上で個別に物件の空き状況確認や問い合わせも受け付け、物件の空き状況などをオーナーに確認。内覧から一般仲介業務で行う重要事項説明や契約まで、完全オンラインで対応している。

 すぐに物件が決まらない場合は、LINE上でアンケートを実施。住みたい物件に求める条件などを入力してもらい、サクセス部門スタッフがそれに見合う物件をサーチし、提案を行う。さらに、入居後の日常サポートもLINEで受け付ける。利用者にとっては、いつでも聞きたいときに聞くことのできる利便性の高いサービスで、利用頻度を考慮に入れるとLINEとも相性はよさそうだ。

 最重要視しているKPIは、GMV(Gross Merchandise Volume:流通取引総額)。ECモールやフリマアプリなどのビジネスで用いられることが多い指標だ。手数料が売り上げとなる同社では、商品自体を増やし、契約成立させることがミッションであることからこの指標を採用している。

 目下の課題について、カスタマーサクセスの辻尚也氏は「通常業務の範囲もボリュームもかなり多く、対応コストを要している点です」と話す。1日あたりのLINE登録者は150名、問い合わせ件数は200件前後にものぼる。個別対応はもちろん、契約書の作成までを、わずか4名でこなす大変さは想像に難くない。

 社内では部門間連携が強化され、カイゼンの仕組みは整いつつある。具体的には寄せられるVOCのうち、最も大きな課題を社内の開発部門に共有。決済の自動化や、管理画面、アプリ仕様の改良を日常的に重ねている。さらに今後は、「売り上げや事業規模、利用者数の拡大に合わせた、対応人員の増強。同時にシステム面の強化、とくにテックタッチの増強」(辻氏)を予定している。例えば顧客が登録した情報から契約書を自動生成するソリューション導入など、ビジネスプロセス全体を仕組み化し、事業規模を拡大する方針だ。

 

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