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本誌記事 インタビュー Gainsight 絹村 悠 氏

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People インタビュー

ついに日本上陸した米国のトップベンダー
「伝道師」として市場を牽引する!

米国で「カスタマーサクセス」という概念を浸透させ、高い認知度と普及率を持つITソリューションベンダーのGainsight(ゲインサイト)が、2022年夏に日本進出を公表した。日本法人代表に就任した絹村 悠氏に、日本市場に対する見解と戦略、日米の違いとビジョンを聞いた。

絹村 悠 氏
Gainsight
日本法人代表
絹村 悠 氏
日本ヒューレット・パッカード、Tableau Japanにて法人営業などを行う。直近ではセールスフォース・ジャパンにて、執行役員 Tableau事業部 コーポレート営業本部 本部長を務めた後、2022年Gainsightに入社、代表取締役社長に就任。

──まずはGainsightの説明をお願いします。

絹村 当社が提供しているのは、「カスタマーサクセスプラットフォーム」です。2009年に米国サンフランシスコで創業し、2013年、CEOのニック・メータが、今となってはカスタマーサクセス初の教本といえる「カスタマーサクセス─サブスクリプション時代に求められる『顧客の成功』10の原則」を発刊。組織的にカスタマーサクセスを取り入れる際のガイドラインとして広く読まれています。また、同年から世界最大のカスタマーサクセスに関するコミュニティイベント「Pulse」も主催しており、ITソリューションの提供にとどまらない「エバンジェリスト」として普及にも努めています。

 ソリューションの導入企業は、米国ではシスコシステムズ、アドビ、BoxやWorkday、日本ではSansan、ユーザベース、ビズリーチ(HRMOS事業部)などにご利用いただいています。主に従来の売り切り型からサブスクリプション型に提供スタイルを切り替えた企業が、プロセスや組織を改変する際に導入しています。

──カスタマーサクセスの日本市場の現在地と課題を伺えますか。

絹村 国内カスタマーサクセス部門の課題をまとめたのがです。すべての課題の根底にあるのが、属人化です。大半の企業はカスタマーサクセスやカスタマーサポートのシステムを運用していますが、対応チャネルや必要となった機能を後から追加しているため、アプリケーションのインタフェースはバラバラです。システムが統合されていないとデータを調べ、思考し、発見し、対応するというすべてのプロセスを個人の力量に依存することになります。永続的に成果を出すためには、まずシステム統合が欠かせないプロセスです。

図 国内カスタマーサクセス部門の課題

図 国内カスタマーサクセス部門の課題

※画像をクリックして拡大できます

サクセス出身CEOも登場
新しいキャリアへの期待

──グローバルでの現況もお聞かせください。

絹村 HubSpotの現CEOをはじめ、カスタマーサクセス出身の経営者が登場しはじめています。このキャリアには必然性があると考えられます。カスタマーサクセスの実践には、製品、顧客情報、マーケティングプロセス、テクノロジーの理解が欠かせません。ここに“人を動かす力”が加わると、経営者そのものです。サクセスを経由して経営者に至るキャリアは新しく、とても魅力的なものとして注目されると考えています。

 市場規模も拡大が見込まれており、当社の調査では95%のテック企業がカスタマーサクセス機能を既に有し、投資は継続すると分析しています。さらに求人指数も、2015年から2019年の期間で、カスタマーサクセス職種は約700%も伸びています。今後、日本のマーケットにもこれらと同様の状況が起きると見ています。

──その根拠は何でしょうか。

絹村 日本のSaaSおよびソフトウエアの業界規模はグローバルで2番目に大きいこと。そして、今の日本のマーケットの状況は、2〜3年前の米国に似ていることです。

少し異なるのは日本の伝統的な営業組織の形態です。これまでは営業マンが、販売からメンテナンスまで行ってきました。これが営業の生産性を下げていることは否めません。マッキンゼーが2021年に公開したレポート「日本の営業生産性は何故低いのか?」では、日本の営業の生産性は他国と比べて3倍も劣っているという結果が出ています。これを解消する手段の1つが「カスタマーサクセス」です。既に米国では、SaaS企業の売り上げ全体の維持向上に欠かせない存在として認知されています。

最先端の組織をつくり
リーディングカンパニーを目指す

──米国における御社の「勝因」と日本での目標を伺えますか。

絹村 カスタマーサクセスというコンセプトを訴求し、実現するためのプロセスを明確に打ち出したことで、認知度が格段に高まりました。ニック・メータの書籍や発言の根底にあるのは、「カスタマーサクセスという考えは世の中を活性化させ、より良いものにする」という信念です。単に、ITツールを売ることに終始せず、カスタマーサクセスの職種としての魅力を訴求し、各企業の採用募集情報を拡散するなど、人材市場の流動性を高め、活性化することでキャリア構築のできる土壌を構築しました。ITだけでなく、市場そのものを拡大する動きを重ねてきたことが、エバンジェリストとしての評価の基にあると思います。

 日本においても、我々自身がカスタマーサクセスカンパニーになることがひとつの大きな目標です。もちろんソリューションとしても、顧客状況の把握、打ち手の均質化、対応内容の管理、コミュニティ作りまで、一元管理できるツールです。近日中に日本語版をリリースし、3年間で40〜50社の導入を見込んでいます。我々と共に歩み、成功していただけるお客様と丁寧にコミュニケーションを重ねていきます。

──それを実現するには、組織作りが必要ですね。

絹村 グローバルで最先端のカスタマーサービス組織を作りたいと思っています。求めるのは、カスタマーサクセスが企業のビジネス成長に貢献することに共感できるマインド。そのうえで、顧客のビジネスを理解し、テーラーメイドで寄り添い、コンサルティングやリーダーシップ能力を身につけていってほしいですね。その筋道こそがキャリアとしてのサクセスであり、Gainsightでありたいと思います。

 

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