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2022年8月号 <市界良好>

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市界良好

<著者プロフィール>
あきやま・としお
CXMコンサルティング
代表取締役社長
顧客中心主義経営の実践を支援するコンサルティング会社の代表。コンタクトセンターの領域でも、戦略、組織、IT、業務、教育など幅広い範囲でコンサルティングサービス及びソリューションを提供している。
www.cxm.co.jp

広告表現

秋山紀郎

 景品表示法に違反する行為として「おとり広告」が最近話題になった。他店の話だが、看板のランチメニューにつられて入ったが、着席後に希望する料理が完売であると言われ、仕方なく別メニューをオーダーした経験が、私にも何回かある。それが店の意図的なものであってはならない。逆のパターンだが、限定10食とメニューに書いてあるが、13時過ぎに行っても「あります」というのも、本来おかしな話だと思う。

 消費者庁には、不当表示といった景品表示法違反の疑いがある事実について情報提供を受け付ける窓口があり、オンラインや電話でも相談が可能だ。だが、そのブランドに愛着がなければ、わざわざ情報提供はしないかも知れない。「お客様満足度第1位」もよく見かける広告であるが、調査対象の人数を故意に調整して1位にしていたとして、景品表示法違反の行政処分になったニュースもあった。これだと消費者は気付きにくい。全米No.1ヒットと告知する映画が多いのも、個人的には気になっている。

 広告表現が信じられなくなると、消費者の行動も変わってしまう。例えば、封筒に「重要書類」と書いてある郵便物を開けると、単に不動産の勧誘チラシであったということがあった。何回かこれを経験すると、本当に重要書類を入れている別の封筒も開けなくなってしまうだろう。

 つい昨日も、ミシンかカメラの中古品を売ってほしいと電話が突然あった。社名を言い丁寧な口調だったが、私の個人情報を持っていないいわゆるローラー作戦による電話だと感じたこともあり、丁重にお断りした。後から調べると「押し買い」という手法があることが分かった。この電話がそれに該当したのか分からないが、電話による勧誘をしてきて、買取の予約をとりつけ、自宅へ訪問して、宝石や貴金属などさまざまな商品を相場より安い金額で買い取るという手法のようだ。以前から電話で勧誘して相場の価格で買い取っていた通常の業者、それを利用していた人にとっても迷惑な話だろう。

 インターネットをベースとした多様なサービスが登場している今、もっと複雑なケースもある。マーケットプレイスで購入した商品が事前の説明通りでなかった場合、5つ星なのに期待外れのレストランなどの時に、どこに連絡したらよいのか分かりづらい。販売元の広告が正しくないのか、消費者の評価システムが悪いのか、何か企業の意図的なものがあるのか、消費者の期待が大きすぎたのか、まったく分からない。申し出を受けた企業は、事実関係を調査し、責任分界点に悩むことになる。コンタクトセンターでは、消費者に対して、どこまで情報を収集し、どこまでを対応範囲とすべきか、難しい問題として認識されつつある。事実関係が分かっても、原因追求にコストや時間もかかるし、必要な対策はもっと難しい。

 法律で禁止されている広告表現は決まっており、公正取引委員会もガイドラインを定めて、消費者を保護する仕組みはある。各企業が法令を遵守することは当然であるが、サービスが多用化し、さまざまな広告があふれる中、より複雑なケースがある。消費者自身が目を光らせておくことも、市場において重要な役割を果たすのである。

 

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