<著者プロフィール>
ビジネスボイストレーニングスクール「ビジヴォ」代表。「声」「話し方」に問題を抱えるビジネスパーソンを4万人指導。250社の企業研修を行う。音楽家ならではの聴力と技術を駆使した、「超絶対音感」によるボイストレーニングが話題を呼び、TVなど多数出演。著書に『「話し方」に自信がもてる 1分間声トレ』『ビジネスの発声法』などがある。
「はじめまして」で好印象を残そう
秋竹朋子
第一印象が重要なのは、電話でもリモート会議でも同じことです。メラビアンの法則では、第一印象が決まる時間は3〜5秒とされています。今回は、「声の第一印象」を2割増しにするテクニックをシチュエーションごとにお伝えします。
1日のはじまり、会話や会議での第一声といえば、やはり挨拶です。「おはようございます」「よろしくお願いいたします」など、挨拶の多くは、言葉の頭の母音が「お」です。「お」は、実は暗くてこもる音です。意識して強くはっきりと出すことが、聞こえやすさやハキハキした印象につながります。また、文節を単語ごとに区切って、その頭を強く言うことも重要です。「おはよう、ございます(オレンジ色の文字を強く言ってみてください)」。たったこれだけのテクニックで挨拶が明るくはっきりと聞こえます。ちなみに、「おはよう」の第2音は「は」ですが、この「は」をちょっと高めの音で出してみてください。それで一気に明るい感じになり印象がガラリと変わります。
次に、自己紹介の“声テク”です。転職や異動、プレゼンテーション、リモート飲み会など、自己紹介を行う場面は多数あります。たかが自己紹介、とあなどることはできません。そこで定着した印象が、後々、「仕事を任せたい」と思うかどうか、左右することすらあります。信じられないかもしれませんが、自己紹介がうまくいくだけで、仕事がどんどん舞い込む、ということだってありえます。私は起業したての頃、明るい声で自己紹介することを心掛けていました。大事なのは、「もう一度会いたい」と思ってもらえるかどうかです。「ビジネスマンのためのヴォイストレーニング・スクールをやっています。秋竹朋子です」。この短いフレーズを、次に説明する3つのテクニックを使って伝えることで、「もっと話を聞きたい」と言ってもらえることが増えました。
1つめは、口角を上げることです。日頃から顔の表情筋を動かすトレーニングをしておくとベストなのですが、自己紹介をする直前でもいいです。ニコッと口角をあげる練習をしましょう。
次に、自己紹介フレーズを作ります。短い文章で構いません。長い自己紹介は記憶に残りづらいですし、大勢の前で自己紹介をするときは、「話が長い」と嫌われてしまうこともあります。自己紹介はなるべく短くしましょう。
3つめは、自己紹介のフレーズを2音から6音ずつに区切ることです。私の場合は次のようになります。「ビジネスマンの、ための、ボイス、トレーニング、スクールを、やっています。あきたけ、ともこです(オレンジ色の文字を強く言ってください)」。ポイントは、単語の頭で息を吐くことです。
自己紹介のテクニックは、下のトレーニング動画で観られます。明るい感じになるので、好印象になること間違いありません。この声テクで自己紹介した結果、「昇格試験に合格した」「面接に受かった」という声も多く寄せられています。外見や態度も大事ですが、声までこだわっている人はあまりいません。だからこそ差別化になり、印象に残るのです。