<コーナー解説>
ITソリューションの導入に関し、背景や動機、選定要素と運用ポイントを聞く事例記事です。
バルクオム
ボイスボットで変更手続きを自動化
有人はリテンションに集中「阻止率20%」を実現
バルクオム(東京都港区、野口卓也代表取締役CEO)は、メンズスキンケアブランド「BULK HOMME」を展開する化粧品の企画販売会社だ。商品は毎日使う基礎化粧品が中心で、基本的に毎月、商品を配送する定期コースの利用客が多い。
コールセンターに寄せられる問い合わせは、電話でしか受け付けていない定期コースの解約に関するものが約60%、配送日変更および各種変更手続きが約30%を占めていた。このため、KPIは解約阻止率を重視していたが、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が発出されると、入電数が急激に増加し、解約阻止率は5%ほどまで落ち込んだ。
そこで着手したのが、問い合わせの30%を占めていた配送日変更や住所変更などの事務手続きの自動化だ。当初はチャットボットでの対応も検討した。しかし商品や同梱物に記載されている電話番号を見てかかってくる入電の抑制にはつながらない懸念から、ボイスボットの導入に踏み切った。
今月のPOINTS!
■システム概要
BEDOREが提供する音声認識と対話エンジン、音声合成を組み合わせたボイスボット「BEDORE Voice Conversation」。CRMなどの顧客管理システムと連携し、注文や変更といった手続き処理を実現する。分岐のあるシナリオや発話内容の聞き返しなど、柔軟な対話を構築できる。また、固有名詞や独特の言い回しなどをあらかじめ辞書登録することで認識精度の向上も可能。
■選び方のポイント
チャットボットを導入しても呼量削減できなかったため、かかってきた電話にそのまま対応するボイスボットの導入を検討。BEDOREはボイスボットだけではなく、顧客視点でセルフサービス全体の改善を提案。バルクオムの課題解決のスピード感とマッチしたため導入が決定した。
■使い方のポイント
「顧客がなぜ電話をしてくるのか」を考えたうえで、「配送日変更」ではなく「遅らせたい」「早めたい」と、顧客視点でわかりやすく文言を工夫。結果、利用が促され、呼量削減につながった。
Customer Success Divisionの上本隆太氏
図 改善後のIVRの項目