<著者プロフィール>
職業:顧客経験価値にこだわる戦略立案&業務改革コンサルタント
過去勤めたことのある企業:日本ユニシス、日本IBM、日本テレネット
週末の過ごし方:
<ケース1>隅田川あたりをぶらぶら散歩して浅草で飲んだくれたあと銭湯で汗を流す
<ケース2>スポーツジムでヨガレッスンを受けて汗を流す
最近の悩み:昔は痩せの大食いだったのが、最近は小食の小太りになっていること
ちょっとした工夫で作る
「ワンランク上」のチャットボット
ISラボ 代表 渡部弘毅
ジムのレッスン予約がスマホでできるようになって利便性が高まったのはよいのですが、それでも操作に慣れないオバサマ方のお助けオヤジとして活躍している、わたちゃんです。つまずくところはだいたい一緒で、皆さんが自力で予約できるようになるのが、直近の僕のミッションです。
LINEの普及により、チャットユーザーインタフェースによるテキストコミュニケーションが標準化し、企業のお客様対応手段もLINEも含むチャットが一気に普及しました。従来の電話やメールといったチャネルに加えてチャットを導入することで、その気軽さから、それまでサイレントカスタマーであった顧客からの問い合わせも増えているようです。
そうしたなか、対応の人件費削減や迅速性、正確性の向上を目指して、チャットボットによる自動化も進んでいます。ヘルプデスク業務を中心にFAQを整備し、学習機能で回答精度を向上させる取り組みが盛んに実施されています。
しかし、チャットボットは高度な学習機能を使ったヘルプデスク業務だけに適用できるものではありません。生活者が慣れつつあるチャットユーザーインタフェースを利用して、情報参照や申し込み、変更といった手続き業務の対応を自動化する仕組みとすることで、ユーザーと企業がWin-Win関係になることも可能なのです。ひと昔前までは、IVR(音声応答)によって、残高参照や、ポイント還元の申し込み、各種予約受付を行っていた業務を、チャットボットが対応するイメージです。テキスト入力や、写真の送付などもできるため、音声ではできない情報のやり取りも可能です。
スマートフォンの登場により、こうした参照や受け付けなどの対応はスマホアプリが取って代わる事例が多くなり、操作性も向上、使いやすくはなってきました。しかしながら、シニアの方を中心にまだまだ万人にとって使いやすいユーザーインタフェースとは言えないケースもあります。例えば、使い慣れている可能性が高いLINEなどで対話形式で情報参照や受付処理できれば、利便性は高まります。こうしたケースにおけるボットは、ディープラーニングなどの高度な学習機能は必要なく、定型的なフローをこなすボット技術で十分なのです。
高度な技術を駆使する方法を考える視点も必要ですが、お客様視点に立ち、ちょっとした工夫を施すことが、実はワンランク上のお客様志向を実現することにつながるのです。
ということで、僕の通っているジムも、LINEボットによるレッスン予約受付が実現できると、あのオバサマたちに喜ばれるに違いありません。しかし実現された暁には、オバサマたちの中での自分の存在価値が下がること間違いないだろうな、とか思うとちょっと寂しくなったりしてしまいます。
図 チャットボット適用業務