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りらいあコミュニケーションズによる東電EP受託業務の不正発覚(緊急企画のお知らせ)

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大手テレマーケティング会社、りらいあコミュニケーションズによる、東京電力エナジーパートナー(以下、東電EP)の受託業務における不正が発覚して10日が経過した。

りらいあコミュニケーションズは16日、「当社鹿児島センターにおける不適切な業務運営についてのご報告」というプレスリリースを公開。東電EPも同日、契約内容の確認を実施する旨を同社ホームページ上で公開している。

月刊コールセンタージャパン編集部では、両社に対して質問状を送付。りらいあコミュニケーションズからは文書で、東電EPは電話で取材に応じた。両社のプレスリリースおよびその回答、そして第一報である朝日新聞の内容から、不正の状況を検証する。


「不可侵」のはずの録音システム
不正はいかに行われたのか


不正が行われた業務は、電力自由化に伴う新規参入業者のサービスに移行した消費者に対する「勧誘業務」だ。他社に切り替えた顧客に対し、アウトバウンドを実施し、東電が提供するサービスのメリットを伝えたうえで、再契約を勧誘するというもの。その業務において、「契約を優先した不適切な勧誘が行われた」(東電EP経営改革本部業務統括室広報企画グループの小林商司マネージャー)というものだ。

りらいあコミュニケーションズによると、同業務を担当するブースの「現場管理者1名」が部下に指示、不適切な勧誘を行っただけでなく、電話勧誘時の録音音声を不正に編集、東電EPに提出したという。

コールセンターに導入されている音声録音システムは、そのほとんどの製品において、本体に録音されたデータに直接、手を加えることは極めて難しい。東電EP、りらいあコミュニケーションズともに、編集部が求めた改ざんプロセスに関する質問には、明確な回答をしていない。しかし、りらいあコミュニケーションズのプレスリリースには、「本件現場管理者が当該PC(業務に活用しているPC)端末を用いて音声編集ソフトをダウンロード・インストール」と記載していることから、音声録音システムからファイルを汎用形式のファイルに変換、ダウンロードし、改ざんを加えたと推察される。


実施された1万件超の案件を
東電EPが再確認する方針


東電EPにりらいあコミュニケーションズから提出された音声ファイルに記録されていた件数は71件。そのうち、44件で不適切な勧誘や不正な音声編集(改ざんや捏造)が確認されている。
りらいあコミュニケーションズによると、「類似業務での不適切な電話勧誘や不正な音声編集は確認できていない」ということだが、これも調査対象は無作為抽出による録音データの確認や音声編集ソフトのインストール状況、関係者ヒアリングによるもので、100%のチェックが行われたわけではない。東電EPによると、りらいあコミュニケーションズへの当該業務の委託で実施された顧客とのコンタクトは約1万200件に達しており、東電EPは「そのすべてのお客様に、まずは郵送による契約内容の再確認をお願いをする方針」(小林マネージャー)という。
なお、同社は、不正発覚に伴い、同業務については、すでにりらいあコミュニケーションズとの契約を打ち切っている。


なぜ、不正は行われたのか
食い違いも生じた両社の主張


りらいあコミュニケーションズのプレスリリースでは、「現場管理者の上長および本社役職員の関与は確認されていない」とのことで、上層部による指示はなかったようだ。では、なぜ現場管理者は不正に手を染めたのか。

コールセンター、とくにアウトソーサーの受託業務においては、1センターで1つの業務しか行っていないケースは少ない。今回の鹿児島センターも同様だったようで、「現場管理者を管理・指導すべき上位管理者は他業務への対応に追われており、同案件の現場管理者の業務報告・相談先が本社勤務者となり、組織ライン上の監視が行き届きにくかった」(りらいあコミュニケーションズ)という。
こうした監視体制の甘さも、不正を引き起こした原因ではあったと推察されるが、そもそもの「起因」となったとは考えにくい。そこには、「クライアント(東電EP)、あるいは上層部もしくは営業担当からの強いプレッシャーがあったのでは」という見方をする関係者は多い。

同社および東電EPは、編集部の「現場への要求(プレッシャー)は、通常業務の範囲内だったのか」という質問には、「とくに逸脱したものではない、通常の範囲」と回答した。しかし、りらいあコミュニケーションズのプレスリリースには、「成約数に応じて業務料が支払われる契約形態であり、成約数が業績に直結することもあり、現場管理者に不正に向かう誘引が生じたと推察」している。当該業務の現場管理者自身が、このインセンティブに対して相当のプレッシャーを感じていたことは間違いなさそうだ。

東電EPの小林マネージャーは、「数値目標は設定されていたが、いわゆる“ノルマ”というほど苛烈な設定ではないし、未達成の場合、打ち切りなどのペナルティを示唆したわけでもない」と強調した。目標設定の際も、「十分な話し合いのもとで行った」としたうえで、「(目標を)達成することが難しい場合でも、スクリプトの改善など、業務改善の相談に積極的に応じていた」と説明。ここで、「成約数が業績に直結する」というりらいあコミュニケーションズのプレスリリースとは微妙なニュアンスの食い違いが発生している。こうした現場、アウトソーサーの管理ラインや経営、クライアント(発注者)といった、多数の関与者間のコミュニケーション不全が、現場管理者に不要なプレッシャーを感じさせた原因と見ることもできそうだ。言い換えれば、「受委託の関係性」が機能/コミュニケーション不全を引き起こし、現場に不要なプレッシャーを与えたのでは、と推察できる。


「対現場」に比べて
曖昧な全社的な再発防止施策


再発防止については、りらいあコミュニケーションズは鹿児島センターにおける指示命令系統の見直し、品質チェック機能強化、通話録音データ管理の厳格運用をあげ、全社における取り組みとしてコンプライアンス研修やワークショップ、社内報告ルール、内部監査体制、人事評価制度、人材ローテーションといった既存の施策に加え、「社員意識改革と業務運営品質にむけたさまざまな施策」を推進するとしている。しかし、少なくとも現段階では、新たな施策については具体性に欠けると言わざるを得ない。
一方、東電EPは、「すべての業務委託案件について、モニタリングを強化する。契約も、営業担当など、限定した社員のみが関与する契約ではなく、品質安全担当部署がより積極的に関与するなど、これまで以上に“アンテナ”を高くする方針」(小林マネージャー)と説明した。


緊急開催!
受委託の関係を再考するオンラインセミナー


アウトバウンド、インバウンド問わず、顧客の利益や感情を無視した不適切な勧誘は、実施されてはならない。また、音声録音システムに蓄積された応対ログは、コールセンターにおける「最大の成果物」「最大の資産」である。これを改ざん、捏造した事実は、絶対に看過できない。
コールセンタージャパン編集部では、今回の不正は、単なる現場の暴走にとどまるものではなく、受委託の関係――ベンダーマネジメントのあり方にその真の原因があるのでは、と推察する。そこで、「BPOベンダー(アウトソーサー)の信頼性のみならず、コールセンターというビジネス、職場における信頼と価値を回復する機会を設ける」ために、緊急オンラインセミナー企画、6月26日に開催する。

2部構成で、第1部は国内の主要テレマーケティング各社に声がけし、キーマンの出演を依頼した。現在も交渉中だが、4〜5社が参加の意向を示している。
第2部は、テレマーケティング会社勤務の経験者および、発注者の経験者数名でディスカッションを行う予定だ。時刻は16時から、オンライン会議システム「Zoom」のウェビナー機能を利用して行う。事前登録はこちらから可能だ。

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