ナレッジの鮮度を保つ『KCS』
事例にみる「現場の理解」の進め方
有人対応もセルフサービスも、ベースになるのはFAQだ。鮮度が高く、高品質なFAQを維持すれば、自ずと解決度もCSも上がる。FAQの見直しを図る動きが盛んになるなか、ナレッジマネジメントの国際標準フレームワーク「KCS」が注目されている。事例をもとに、KCS実践のポイントと効果を検証する。
AIがどれほど進化しても、元となるナレッジに不備があれば、使われなくなり、あっという間に陳腐化する。ナレッジの見直しを図る企業が増えるなか、米国のNPO団体、サービスイノベーションコンソーシアムが提唱するナレッジマネジメントのフレームワーク「KCS(ナレッジ・センター・サービス)」が、国内でも注目されはじめた。ナレッジを捉え、構造化し、再利用し、改善する──情報の鮮度を保つために必要な、さまざまなルール、体制をまとめたフレームワークだ(図)。
KCSを導入、実践するうえでカベになるのが、「必ずFAQを参照する」というルールの徹底にある。マイクロソフト製品のカスタマーサポート業務をさまざまな企業から受託している日本ビジネスシステムズは、昨年、サポートセンターにKCSを導入。現場を説得し、KCSを徹底しすると、2カ月目にはFAQの質が向上、閲覧数が伸びはじめ、併せて問い合わせ件数が減少していった。
図 KCSの概念
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