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2019年8月号 <わたちゃんのかすたま〜えくすぺりえんす>

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わたちゃん

サブスクリプションとロイヤルティマネジメントの関係

ISラボ 代表 渡部弘毅

 2年前、実に7年間もアマゾンプライムに入会していたことに初めて気づいた、わたちゃんです。注文した本が当日届いて「さすがアマゾン!!」と称賛していたのは、何のことはない、プライム会員だからでした。

 近年、お客様と企業の新しいWin-Winモデルとして、「サブスクリプション・モデル」のサービスが広がりつつあります。サブスクリプションとは、製品やサービスの購入ではなく、利用に対して代金を支払う方式であり、料金は定額制や、利用期間・利用度合いに応じた従量制などがあります。従来から雑誌の定期購読や会員制スポーツジムサービスなど、このモデルは存在していましたが、クラウドサービスの登場でソフトウエア分野に広く適用されたことから、小売りやサービス業にまで拡大。生活者のベネフィットが高まる一方で、企業の戦略やマーケティングのあり方を大きく変革する必要性が出てきました。

 同モデルのマーケティング視点で重要なことは、新規顧客獲得よりもサブスクライブ(会員登録)したお客様の離反防止が収益に大きく影響をするということです。従来の考え方でも、新規顧客獲得と既存顧客の維持は両輪で、それぞれに対する施策を確実に実施することが企業収益を支える要件でしたが、マーケティングの観点ではどうしても新規顧客獲得に重点が置かれていました。購買時にすべての対価をお客様からいただく従来モデルでは、既存顧客であっても再購買の時点で新規顧客的な扱いとなり、結果的に新規獲得のためのマーケティングが収益を支える活動とみなされていたのです。

 しかしながら、サブスクリプション・モデルでは会員を獲得してもすぐには売り上げは上がらず、長い時間をかけて収益となります。お客様の会員登録に対するハードルは低く、その代わり「離反に対するハードルも低い」という特徴があります。従って、新規顧客獲得よりも既存顧客の離反防止が大きな焦点になり得ます。

 サブスクリプション・モデルが短期間にかつ急激に普及したITソフトウエア業界、いわゆるクラウドサービス業界では、この変革を察知して「カスタマーサクセス」という考え方を提唱しました。「カスタマーサクセスマネージャー」という新たな職種も誕生し、今は花形の職種になりつつあるようです。そしてロイヤルティマネジメントをサブスクリプション・モデル事業の成功の最重要要件と位置付けて取り組んでいます。

 一見、当たり前のようにみえるこの考えをしっかりと定義して経営から現場まで落とし込むやり方は、さすがにシリコンバレー流だと感心しています。

 ということで、僕のアマゾンプライムは、その失態に気づいた後、離反しそうになりましたが、もとを取り戻そうとビデオやミュージックコンテンツを利用し倒した結果、今ではライフスタイルに無くてはならないサービスになりました。恐るべしアマゾン!!

図 クラウドサービス導入企業のカスタマーサクセスがカバーする範囲

図 3クラウドサービス導入企業のカスタマーサクセスがカバーする範囲

※画像をクリックして拡大できます


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