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2019年7月号 <インタビュー>

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カルロス・ロー・オルティス 氏

サブスクの成否を分ける「キャンセルボタン」
CX組織の役割“押す理由”の分析と共有

アドビ
執行役員 カスタマー・ケア・Japan&APAC
カスタマー・エンプロイー・エクスペリエンス本部
カルロス・ロー・オルティス 氏

世界で最も成功している「サブスクリプション企業」のひとつとされるアドビ。パッケージ時代との違いについて、執行役員のカルロス・ロー・オルティス氏は「簡単にキャンセル(使用中止)ボタンを押されること」と説明。コンタクトセンターの役割も、「そのボタンを押されない“体験”の提供をリードする」と極めて明確だ。

Profile

カルロス・ロー・オルティス 氏(J.Carlos Roo-Ortiz)

アドビ
執行役員 カスタマー・ケア・Japan&APAC
カスタマー・エンプロイー・エクスペリエンス本部

アドビのデジタル・メディア・ビジネスにおける日本およびアジア太平洋地区のカスタマー・エクスペリエンスの組織をすべて統括。マルチカルチャーな組織を率いながら質の高い顧客サービスの提供を実現。アドビ入社前は、Amazonやソニーなどグローバルカンパニーにおいてカスタマーサービス部門における要職を歴任。2016年1月より現職。

──サブスクリプション・ビジネスの代表的な成功企業として評価されていますが、パッケージ中心の時代と比較して、サポートに対するニーズや体制に変化はあったのでしょうか。

カルロス 問い合わせの内容、お客様ともに、大きな変化が生じています。パッケージで製品を提供していた時代のサポートは、技術的な問い合わせがほとんどで、お客様もプロフェッショナルなユーザー(デザイナーやカメラマンなど)が大半を占めました。しかし、提供形態がクラウドに移行し、簡単かつ安価にソフトウエアを利用できるようになった結果、さほどリテラシーの高くない個人のお客様が急増しています。結果、現在はノンテクニカルな問い合わせ、「Activation(アクティベーション)、Billing(課金/支払い)、Cancel(キャンセル)」の3つのカテゴリーの問い合わせが全体の約60%を占めています。当社では、この3分野を、頭文字を取って“ABC”と呼んでいます。

 さらにクラウド化がもたらした、最も大きなお客様の行動変化は「簡単にキャンセルボタンを押せること」です。ちょっとでも使いにくい、あるいは不快な経験をしたら継続してもらえません。そこで、カスタマー・エクスペリエンスの観点では「キャンセルボタンを押させないためのプロアクティブなサポート」の実践が収益拡大にとって重要なアプローチとなります。

──具体的な取り組みは。

カルロス お客様が変わるということは、サービス提供におけるペインポイント(痛点)が変わるということです。それを深掘りすることが、大きな役割のひとつです。さまざまなサーベイとコメントをもとにしたVOC(顧客の声)とVOE(従業員の声)をカテゴリーごとに分析し、「なぜキャンセルしたいのか」を理解、プロダクトやセールス、マーケティングの部門などにフィードバックします。カテゴリーは、プロダクト、エージェント(同社のオペレータ呼称)のソフトスキル、プロセス、プライスなどに分類して、それぞれ改善のためのアクションプランを策定します。

(聞き手・矢島 竜児)
続きは本誌をご覧ください


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