スキルなし、やる気なしの人材を戦力化する
事例に見る“選ばない採用”のコツ
「人材を選べない時代」が到来した。募集人員に満たない応募、増える離職。こうした現状を踏まえ、“選ぶのではなく、育てる”“即戦力ではなく、続く人材の採用”に重点をシフトするセンター運営企業が増えつつある。従来ならば採用しなかった人材を教育でカバーする事例会社の取り組みを検証する。
手厚い教育体制や働きやすい環境づくりなどで、“選ばない採用”を実践する、ベルシステム24とワイズ・ヒューマン──2社の取り組みを検証する。
採用費が高騰する現在、基準に満たないという理由で不採用にし、採用活動を繰り返すよりも、コストと労力を割いてでも育成する方がいいという見方はある。こうした考え方はテレマーケティング・アウトソーサーでも広がっており、ベルシステム24では2017年にコミュニケーションやタイピングなどを就労前に教育する就業支援施設「SUDAchi(すだち)」を開設。
福岡県と鹿児島県でセンターを運営するワイズ・ヒューマン(福岡県福岡市、坂口優子社長)は、SVの指導が響かないオペレータの育成法を見直し成果を上げた。承認/伝承/委譲を『3つのSHOW』と呼び、実践。具体的には、改善事項を伝えるだけではなく良いところを認めて褒める「承認」段階で、オペレータの自信と帰属意識を高め、チームの成長をけん引する存在にまで成長を促せたという。また、どれだけ反発されても、諦めずにビジョンや目標を伝え続ける「伝承」は、クレームの発生率が下がるといった成果が出ると指導に対する反発も減っていった。KPI管理など顧客対応以外の仕事を任せる「委譲」は、オペレータの視野を拡げ、チーム全体のパフォーマンス向上に尽力するようになるといった効果を生んだ。
図 「選ばない採用」の仕組み
※画像をクリックして拡大できます