「購入前」から「再購入」までのCX
全プロセスでコミュニケーションを支援
米セールスフォース・ドットコム
Service Cloud 担当 エグゼクティブ バイスプレジデント &ジェネラルマネージャー
ビル・パターソン 氏
PROFILE
ビル・パターソン 氏(Bill Patterson)
マイクロソフトで開発エンジニアや製品戦略立案などでリーダー的役職を経た後、2017年8月にセールスフォース・ドットコムに入社。Service Cloudの製品部門オーナーとして、製品開発の方向性の決定やプラットフォームとしての革新をリードしている。
消費者の購買行動の変化を背景に、コンタクトセンターの役割も変わりつつある。「Salesforce Service Cloud」のエグゼクティブ バイスプレジデント &ジェネラルマネージャーのビル・パターソン氏は「企業のCX戦略の中核として、全顧客接点の情報に基づいた応対が求められています」と強調する。
──直近の第4四半期売上は36億ドル、通期売上は132億8000万ドルを達成。ともに前年比26%増と好調でした。この要因は。
パターソン 企業の顧客戦略を担う基盤として、「Salesforce Service Cloud(以下Service Cloud)」が多種多様な企業に受け入れられたことが、主因だったと思います。現在、消費者は“ブランドを所有する価値”や“機能的な価値”よりも、カスタマー・エクスペリエンス(CX)を重視しつつあると推察しています。同時にサブスクリプション型のビジネスを展開する企業を中心に、製品・サービスの継続利用や再購入を促すためのCX向上に取り組む企業が増えています。
──コンタクトセンターが求められる役割の変化は。
パターソン CX戦略の中核として、従来はセールスやマーケティングの領域とされてきた「購入前の顧客接点」と、カスタマーサポートやサービスの領域である「購入後の顧客接点」の体験を踏まえた応対が求められています。
──Service Cloud強化の方向性を教えてください。
パターソン あらゆる顧客接点の情報と連携してSalesforce基盤上で統合しCX向上を支援するパッケージへ進化を図ります。すでに、Salesforce上に蓄積された顧客の情報は、AI「Einstein」が学習することによってパターン化され、問い合わせの分類や顧客インサイトの発見・予測など、オペレータ支援機能としてService Cloudの画面上に組み込めるようになっています。直近では、顧客が置かれている状況を把握したうえでの応対や、アップ/クロスセル提案を行う機能も実装しました。
──CX向上のために、顧客が“困る前”に働きかけるプロアクティブ対応に取り組む傾向も指摘されていますが、そのニーズへの対応は。
パターソン Service Cloudでは、IoT情報の活用による支援が可能です。センサーなどから取得したデータを基に、オペレータに「応対や提案すべきタイミング」を知らせることができます。また、ワークフローの自動化も実現しました。
──日本のコールセンターについて、どう捉えていますか。
パターソン テクノロジーが生活に根差している国の1つですが、従来型の受け身型のカスタマーサービスにとどまっている企業が少なくないと感じました。テクノロジーの活用によって、顧客の期待値と現実のカスタマーサービスとのギャップを埋めていく努力が必要だと思います。我々はそのギャップを少しでも埋めるための支援をしていく方針です。その支援の1つとして、日本企業の多くを占める製造業や小売業向けパッケージの開発を検討しています。