「チャットボット=人手不足解消」にはならない
ISラボ 代表 渡部弘毅
我が家は共働きなので、洗い物はできる方がやるというルールですが、圧倒的に自分の方がやっていることに気づいてしまった、わたちゃんです。そこで効率化のために、宝の持ち腐れになっている、立派な自動食器洗浄機の活用を提案してみました。
「コールセンター白書2018」のレポートを見ると、コールセンターにおける最大の課題は、「人材難の解消」であることが分かります。そしてそのためのソリューションとして、AI技術に対する期待が大きく膨らんでいることがレポートされています。また、コールセンターのAI適用分野に関しては、チャットボットの導入機運が大きくなっています。
つまり、チャットボットの導入により顧客対応の自動化が可能となり、最大の課題である「人材難の解消」が実現できるのでは? といった期待が大きくなっていると想定されます。しかしながら、チャットボット導入が即人材難解消のソリューションと考えてしまうには大きな落とし穴があることに注意しなくてはいけません。
確かにAIには自動化を大きく促進して人手によるワーク量を大きく軽減させる効果が期待できます。しかしながら、チャットボット、つまりコールセンターのオムニチャネル対応においては注意すべき点もあります。チャットのユーザーインターフェースを導入する目的は、お客様の問い合わせに対する利便性を向上させることです。また企業のマーケティング視点だと、今まで電話チャネルだと問い合わせに対するハードルが高かったサイレントカスタマーとのコミュニケーションの増加も期待できます。つまり、チャットユーザーインターフェースの導入は、「お客様とのコミュニケーションの量が増える」と考えるべきです。場合によっては従来のチャネルである電話やメールでの対話量は減らない、逆に増える可能性も大きいのです。これは顧客ロイヤルティ向上の視点からは効果が出たと判断しますが、人材難の解消にはなりません。
従って、チャットボット導入による人材コスト面でのメリットを出すためには、「コミュニケーションの量の増加を超える自動化」が実現できないと効果が出ないということになります。導入したからといって、すぐに人材難の解消に至るのではなく、時間をかけながら効果を出していくというスタンスが重要です。
一方、我が家は自動食洗器の稼働で自動化は促進されたのですが、今までにも増して僕が担当する量が増えてしまい、カミサンの工数削減には繋がったのですが、僕はその恩恵を授かっていません。これも時間をかけてじっくり対策を練らなければいけない案件です。
図 人材難の解消とロイヤルティ向上の両立