FAQの改善=CX向上=経営貢献!
全社を巻き込む一大プロジェクトを主導
元ベルトラ
グローバルカスタマーサービス
ストラテジックプランニングマネージャー
島津 智子 氏
Profile
島津 智子 氏(しまづ・さとこ)
2010年、ベルトラに入社。2016年からCS戦略マネージャーに着任し、東京、パリ、マニラ、ホノルル、上海オフィスとグローバルオペレーションを構築。2018年にベルトラを退社、台湾のスタートアップ企業でマネジャーとしてコールセンター立ち上げを行う。人間らしい心遣いと最先端技術の融合により、「世界中のお客様の期待値を超える」CS創造を目指している。
カスタマー・エクスペリエンスの向上にまい進するコールセンターは数多い。しかし、実現には現場に“強いリーダー”が必要だ。
島津智子さんは、所属していた旅行会社、ベルトラでさまざまなカスタマーサービス改善に取り組んだ。マネージャーとして権限をふるうというより、「顧客が困らない状況を作りたい」という情熱で他のメンバーをけん引した。
主語は常に「お客様」
顧客視点の全社浸透に貢献
同社は、最も重視している指標にNPS(ネット・プロモーター・スコア)を設定している。低評価を記した顧客に原因を聞くと、「問い合わせしづらい」というコメントが目立った。さらに、「自己解決しにくい」という課題も顕在化。島津さんは、この2点を一気に解消するために、FAQページの改善を提案。その取り組みを主導した。
まず、問い合わせしやすい環境作りについては、すべてのページの最下部に問い合わせ用のボタンを設置。さらに自己解決の促進には、「お客様が使う言葉をタグ化して各コンテンツに紐づけ、検索するときにタグを組み合わせて絞り込み検索ができる仕組み」を採用した。さらに、4言語の自然言語検索機能も搭載している。
一般的に、FAQページを構築する際はコールセンターなどのカスタマーサービス部門とWebコンテンツを開発するIT部門の連携が必要だが、これが実に難しい。ベルトラでも、「FAQはCS部門が専任」とされていたため、他部署の協力を得ることは一筋縄ではいかなかった。
「(FAQが)すべてのお客様の窓口である以上、CX向上の視点においては、関係ない部署は存在しない」(島津さん)という発想のもと、日本のみならずグローバルに点在する拠点も巻き込んだプロジェクトに昇華させた。
同社のビジネスは、旅行のアクティビティを仲介するもので、Webサイトはほぼ唯一の販売チ ャネルでもある。島津さんは、「疑問の解決速度が上がり、離脱率が下がれば予約に結びつきます。お客様の役に立つことが、結果的に収益貢献につながるはず」と周囲を説得、“圧倒的な顧客視点”を根付かせる原動力ともなった。
島津さんは、ベルトラでの経験を活かし、現在は海外のスタートアップ企業で事業立ち上げに尽力している。「“お客様”を主語にした取り組みで新しい企業文化を作りたい」と新天地でも意気込む。