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2019年3月号 <インタビュー>

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神田 昌典 氏

真の“おもてなし”とは
顧客に手間をかけさせない仕組み作り

アルマ・クリエイション
代表取締役
神田 昌典 氏

日本流の「おもてなし」は、現場の負荷の割にロイヤルティに貢献できていない──コンタクトセンター従事者にとって衝撃的な調査結果をもとに、「丁寧な対応ではなく、顧客に手間をかけさせない仕組みを優先すべき」と説く神田氏。マーケッター、そして経営者の視点から「日本のホスピタリティ・サービス」の問題点を指摘する。

Profile

神田 昌典 氏(Masanori Kanda)

アルマ・クリエイション 代表取締役

経営コンサルタント、作家。マーケッターとしても活躍。上智大学外国語学部卒。学生時代に外務省経済部で勤め、米国家電メーカー日本代表を経て独立。「ストーリー思考」など著書多数。米国における消費者調査をもとにした「おもてなし幻想」(実業之日本社)を、リブ・コンサルティングとともに監修。

──マーケティングの専門家としての立場から、日本のカスタマーサービスの現状をどう見ていますか。

神田 コンタクトセンターなどの現場ができることと、顧客や経営といった周囲の期待のギャップが大きすぎると感じます。もっと言うと、“ホスピタリティ”“おもてなし”という言葉から生まれるプレッシャーで、現場が疲弊しているのではないでしょうか。その割には、LTVやロイヤルティ強化に結びついていないという調査結果も出ています。

──顧客対応の成果の部分について、もう少し具体的に説明してください。

神田 インターネットが普及する前と後では、顧客の行動がまったく変わっています。15年前ならば、確かにホスピタリティに基づいた有人によるアプローチ、例えば新規顧客に対するアウトバウンド・コールの施策で、かなりの顧客を繋ぎとめることができた業種もあったと思います。しかし今は、そうしたアプローチよりも、いかに「顧客に手間や面倒をかけさせないか」という施策がロイヤルティに結びつく時代といえます。

重要なのは“経験工学”の考え方
「おもてなし」を科学する

──監修を担当された書籍「おもてなし幻想」には、「コンタクトセンターでの対応が発生すること自体がロイヤルティを低下させている」という米国の調査結果が出ています。つまりヒューマンタッチな対応よりも、自動化、自己解決の強化こそがロイヤルティ向上への近道ということでしょうか。

神田 この調査結果には、マーケティングの専門家という立場よりも、経営者として衝撃を受けました。というのも、当社でもお客様に対して、窓口や接点における親切丁寧な対応を徹底していたのです。電話やメールでのお問い合わせ対応ももちろんそうでした。しかし、それでもすべてのお客様にご満足いただき、継続的にお付き合いいただけるわけではない。ときには、苦情をいただくこともありました。(同書の)レポート結果は、いかに日本流の“おもてなし”がロイヤルティに貢献できないのかをデータで実証しており、方向性を一変させるには十分な説得力があると思います。

(聞き手・矢島 竜児)
続きは本誌をご覧ください


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