進む正社員化、リファラル採用
実態調査に見る「採用難対策」への打ち手
働き方改革法案が成立、施行を目前に控え、さまざまな業種で対応が進んでいる。採用難にあえぐコールセンターでは、コンプライアンスとともに“働きがい”にフォーカスした取り組みも必要だ。イー・パートナーズが実施した「働き方改革/働きがい実態調査」の結果から取り組みレベルを検討する。
「働き方改革」の旗印のもと、さまざまな“変化”がさまざまな職場で発生している。4月に「罰則を伴う」関連法の施行を控えて、とくに長時間労働と非正規雇用者を減らす取り組みが注目されているが、時間外労働を減らすという表層的な取り組みが目立つ傾向は否めない。コールセンターやCRM関連のコンサルティング実績が豊富なイー・パートナーズ代表の谷口 修氏は、「働きがいを伴った働き方こそが重要」という視点で、国内のセンター運営企業を対象に実態調査を実施した。調査項目のカテゴリーは、大きく次の通り。(1)採用効率向上施策、(2)生産性向上施策、(3)雇用形態改善施策、(4)加齢対策、(5)勤務体系改善、(6)人事評価施策、(7)賃金施策、(8)福利厚生施策、(9)就労環境改善施策、(10)従業員エンゲージメント強化施策、(11) CSR(Corporate Social Responsibility):企業の社会的責任。11項目の実施状況を「在籍オペレータ数100人」を目安にまとめた結果を図に示す。
全体的に「100人以上」のセンターの実施比率が高い。とくに差が生じたのは「採用効率」だ。「採用人数も頻度も多く、経験値が豊富なのでチャネルや試験など、改善への取り組みレベルが高い」(谷口氏)結果で、言い換えれば「組織的に実施せざるを得ないセンター」ということだ。
一方で規模の差が小さく、しかも実施率が低いのが「賃金」「福利厚生」「就労環境」「CSR」の4項目だ。谷口氏は「コンタクトセンター業界の構造的課題」と指摘したうえで、「ますます複雑かつ高度化する顧客対応を担うオペレータが、低賃金で働く新陳代謝の激しい労働力ではなく、ナレッジワーカーとして専門性を評価し、対価報酬として賃金、就労環境を含めて処遇されるべき」と強調する。
誌面には、初期研修、採用効率、生産性向上、雇用形態(キャリア)に関する調査結果を抜粋している。
図 施策実施状況
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