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2019年2月号 <インタビュー>

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秋元 里奈 氏

農家と消費者のマッチング・ビジネス
徹底したDB活用で「コンシェルジュ」を実現

ビビッドガーデン
代表取締役CEO
秋元 里奈 氏

大量生産・大量消費の時代の終焉がもたらした新しいビジネスモデル──それが「マッチング・ビジネス」だ。よりこだわって作られた商品やサービスを、その価値を認める消費者に届ける。農業の世界でそれを目指し、「食べチョク」を立ち上げたビビッドガーデンの秋元CEOは、「ITを駆使して新たな販路を構築したい」と意気込む。

Profile

秋元 里奈 氏(Rina Akimoto)

ビビッドガーデン 代表取締役CEO

神奈川県相模原市の農家出身。慶應義塾大学理工学部を卒業後、ディー・エヌ・エーへ入社。Webサービスのディレクター、営業チームリーダー、新規事業の立ち上げに携わった経験から、農業の課題解決に挑みたいという気持ちが強くなり、2016年11月にビビッドガーデンを創業。

──2017年8月にリリースした「食べチョク」とはどのようなサービスでしょうか。

秋元 オーガニック野菜の生産者と、品質にこだわる消費者をつなぐマーケットプレイスです。中間業者を介すことなく、季節や買い手の希望に合わせた野菜や米を生産者自身の手で梱包・配送してもらうため、一般の流通経路よりも新鮮な状態で消費者の手元に届けることができます。生産者は現在200の登録があり、中には年間100種類以上の野菜を育てている生産者もいます。消費者側は家族に無農薬野菜を食べさせたいと考える30〜40代の主婦が多く、一ヵ月あたりの平均客単価は6000円ほどです。個人の他、レストランなど事業者の販売先への売り上げも伸びています。

──創業の経緯を具体的に教えて下さい。

秋元 実家が農家だったのですが、私は「農家は儲からないから継ぐな」と言われて育ちました。自分の名義で農地も持っていますが、それは何十年も放置されており、多くの生産者が同じような状況になっていることに違和感を覚えていました。新卒でDeNAに入社し、ITテクノロジーを駆使することでレガシーな業態の産業を発展させる仕事に携わりました。それはまた別の産業でしたが、同じように農業が抱える課題をITで解決して盛り上げられるのではないか、と考えるようになりました。そこであらゆる生産者にヒアリングを行ったところ、小規模な生産者が抱える“ある共通した課題”に気付きました。その解決はDeNAに勤めながら片手間でできるようなことではないと考え、退職して起業することを決断しました。

──その課題とは何でしょうか。

秋元 販路の選択肢が少ないことです。流通経路上で野菜の売値の価格は決められており、大量生産でないと採算が取りづらい構造になっています。手間やこだわりをかけて付加価値を高めても、そのぶん価格を高く設定することができません。また、最近は一部の量販店で生産者の「顔」を入れた売り方をするケースもありますが、多くはどんなに手間をかけても大量生産の農産物と同じ扱いになってしまいます。「こだわらない方が得だ」というパラドックスのような状況に陥っていました。多くの農家が抱える明確な問題であるのにも関わらず解決策がないことに私は大きな課題意識を持ち、農作物の新たな販売経路となる食べチョクというサービスを立ち上げました。

(聞き手・生嶋 彩奈)
続きは本誌をご覧ください


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