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2018年4月号 <企業アプリ最前線>

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企業アプリ

企業アプリ

タッチ操作で家具を好きな場所における(写真上)。家具に落ちる光や影なども再現、実際に使うイメージを描きやすい(同下)

ARで失敗しない“家具選び”

イケア

アプリアイコン

IKEA Place

家具量販店「IKEA」が提供する家具のバーチャル設置お試しアプリ。AppleのiOS向けAR(拡張現実)機能を活用、iPhoneのカメラを通じて、自宅やオフィスに好みの家具を配置、3D表示する

 

 気に入った家具を購入して、実際に部屋に設置してみたら、どことなくイメージと違った──。引っ越しや模様替えにおいて、こうした経験は珍しくない。サイズや色、他の家具との統一感。理由はさまざまだが、その原因は洋服や靴のように“試着”できないことにある。店舗やECサイトで見た家具のイメージと部屋のレイアウトを結びつけ、脳内で「完成図」を描くことになるが、とくに新築住宅ともなれば、部屋のカタチ以外はイメージするものが何もない状態。想像通りの部屋を実現するのは難しい。

 家具量販店のイケアは、2017年10月に家具のバーチャル設置アプリ「IKEA Place」をリリース。消費者のイメージを補う機能としてAR(拡張現実)を活用、家具の購入体験向上を図っている。

スマホ越しに見る「購入後」

 現在、バーチャル設置できる家具は、約2000点。ソファやアームチェア、リビングテーブルなど、部屋の印象を決定づけやすい大型家具中心に取り揃えている。

 好みの家具を選択すると、スマートフォンのカメラ機能が起動、液晶画面に映し出された部屋に実寸サイズの3D画像が表示される。3D画像の家具は、タップやスワイプ操作で、置きたい場所に移動したり、拡大して質感や細部のつくりを確認できる。アプリ開発に携わったイケア・ジャパン Digital Merchandiser Customer Experienceの鈴木 心氏は、「家具に落ちる照明の光や影も再現しているため、実際のイメージに近い」と話す。さらに、画面上に複数の家具を設置することも可能。スマホ越しに正確なイメージを確かめられるため、失敗も少ないはずだ。

 同社では、購入から365日以内、かつ未使用で商品に問題がなければ返品可能としているが、このアプリが有効に機能すれば、返品に関する業務コスト圧縮にもつながる。極めて戦略的なアプリといえる。

 アプリについては、IKEA Placeに先駆けて、店舗の購入支援「IKEA Store」、デジタルカタログ「IKEAカタログ」を提供。約5年かけて、アプリ活用による購入体験向上に取り組んできた。今後は、カスタマーサポートとの連携やアプリ上の顧客行動分析も視野に機能強化を図っていく。


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