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2017年9月号 <キーパーソン>

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クリスティン・エメネッカー 氏

コンタクトセンターのRPA導入条件
「業務プロセスの分解」から支援

ベリントシステムズ
グローバル製品戦略担当副社長
クリスティン・エメネッカー 氏

PROFILE

クリスティン・エメネッカー 氏(Kristyn Emenecker)

20年以上カスタマーケアとコンタクトセンター業界に従事。現在は、ワークフォース最適化ビジネスのグローバル戦略を担当し、各種業界団体でもアクティブに活動している。

労働力不足の解決策として、コンタクトセンターの注目が高まりつつあるRPA(Robotic Process Automation)。RPAソリューションをグローバル展開するベリントシステムズ グローバル製品戦略担当副社長のクリスティン・エメネッカー氏に、先進事例を交えながら導入前に検討すべきポイントを聞いた。

──RPAに対する注目が高まりつつあります。グローバル普及状況について教えてください。

エメネッカー データ入力や発注書作成などのルーチンワークが多い保険業、金融業を中心に導入が進んでいます。現状では、24時間365日自動化によるコストメリットが出やすい大企業中心ですが、米国のアナリストによると、「3年以内にあらゆる規模・業種の事務センターに組み込まれていく」という予測も出ています。

──AI同様、相応の投資が必要です。処理時間の削減効果だけで導入が進むものでしょうか。

エメネッカー 時間の削減に関心が偏りがちですが、余剰時間を顧客応対に集中させることによる応対品質向上、ヒューマンエラーの抑制など、顧客満足度(CS)向上に直結する効果が得られます。

 コンタクトセンターだけ見ても、オペレータは事務処理、SVはオペレータの業務チェックから解放されることで、ほかの業務に時間を費やせます。多くのセンターで運営課題となっている「生産性・品質の最大化」「既存体制の維持」を支援できる点でそのメリットは計り知れません。さらに言えば、RPAは単体で稼働するのではなく、他のITシステムとの組み合わせによってさまざまな業務プロセスで効果を発揮します。

──例えば、どのような活用が考えられますか。

エメネッカー 米国では、VOC(顧客の声)共有における活用で実証実験が始まっています。コンタクトセンターの応対履歴から抽出したVOCを、関連部門に共有するプロセスを自動化しています。例えば、「“改善”がVOCに含まれる場合は開発部門の責任者と経営層に配信する」など、あらかじめ設定した条件に合わせて分析結果を自動配信する仕組みを構築しました。速報性に優れ、情報の抜け漏れがないため、社内にコンタクトセンターの存在価値を示す役割を果たしています。こうした意味で、RPAはこれからのコールセンター業務を支えるソリューションだと考えています。

──事務処理以外にも活用シーンはあるということですか。

エメネッカー 完全自動化するメリットが少ない業務は対象から外し、人の判断や手入力を介したセミオートが適している業務は部分自動化を検討するべきでしょう。当社では、まず「デスクトップ分析」でオペレータのパフォーマンスと各業務プロセスの所要時間、ヒューマンエラーの発生個所などを可視化し、部分的な自動化か、全自動化を選択することをお奨めしています。業務ごとに分析の結果を踏まえた“最適化”が提案できる当社ならではのソリューション提供だと自負しています。


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