もはや「クライアント次第」ではない!
進むBPO各社の“在宅拠点”化
これまで「クライアントが了承しない」として、在宅コンタクトセンターの導入に二の足を踏んでいたアウトソーサー各社。しかし、コロナ禍で一転、普及拡大に向けて大きく舵を切った。狙いはBCP対策以外に、採用難が続く雇用の安定化や拠点戦略の見直しにある。主要アウトソーサーの在宅活用戦略を探る。
新型コロナウイルスの感染拡大で、一気に加速した在宅コンタクトセンターの導入。今年に入り、コロナ禍の沈静化とともにセンターを拠点に戻すという動きも見られる。クライアントの意向に左右されがちなアウトソーサーには、そうした動きを敏感に察知しつつも、「今後も在宅コンタクトセンターの活用をより一層強める」という企業もある。
コロナ禍での在宅コンタクトセンター運用は、拠点に在籍するオペレータやSVを状況に応じて在宅化する、いわゆるハイブリッド運営が主流だ。しかし最近は、募集から採用、研修、着台まで、すべてオンラインで実施し、一度も出社しないまま勤務する、完全在宅の動きもある。その背景として、採用難や拠点戦略の見直しなどが挙げられる。
具体的には、採用難が深刻化し、既存の拠点だけでは人材確保が困難になっている。また、雇用確保にあわせた拠点拡大はコストの観点から厳しいのが実情。このため、拠点に関係なく全国からあまねく人材を採用できる完全在宅の推進が注目されるようになっている。さらに、一般的にテレワークが浸透したことや、採用面の利点などに対してクライアントも理解を示すようになってきた。
こうしたことから主要アウトソーサー各社は、システムやセキュリティなどのハード面、採用・研修・人材育成や運用マネジメントのソフト面、両面から態勢を強化。在宅センターの運営拡大を図っている。ベルシステム24、トランスコスモス、NTTマーケティングアクトProCX、ビーウィズ、4社の動きをみる。