リックテレコム、月刊コールセンタージャパン編集部とイー・パートナーズは、「コンタクトセンター・アワード2022」の個人賞(リーダー・オブ・ザ・イヤー/マネジメント・オブ・ザ・イヤー」に関する申請説明会と審査員による座談会をオンラインで開催した。
なお個人賞の募集要項や申請・審査に関するスケジュールは同アワードのWebサイトで確認可能。申請説明は動画でもアップロードしている。
座談会では、センター・マネジメントや人材育成の経験豊富なクリエイトキャリア代表の寺下 薫氏、オルビスの和田 恵里子氏と、アワード事務局のイー・パートナーズ代表の谷口 修氏が出演。ファシリテーターは月刊コールセンタージャパン編集部 編集長の矢島 竜児が務め、「人が資産のコンタクトセンター、期待するのはこんな人」をテーマに議論した。以下、採録する。
矢島 これまでのご経歴において印象に残ったSVやリーダー、理想のセンター長について教えてください。
寺下 ヤフーで勤務する傍ら、他社のSVの皆さまを対象に「SV研究会」を主宰し、これまでに230人以上のSVの皆さまに研修してきました。研究会で印象に残っているのは、当初、まったく目立たない存在だった人たちがその後、センター長やリーダーになるケースが意外と多いこと。そういう方々は謙虚なだけに「吸収力」があって、ちょっとしたきっかけでどんどん伸びていく印象があります。
谷口 吸収力とは、具体的に?
寺下 自分に足りない部分を自覚し、プライドを捨てられる。結果、自ら学ぼうとする姿勢が身についているのではないでしょうか。例えば、インフラを提供する企業のSVさんがいたのですが、参加時点では5人程度のグループリーダーに過ぎなかったのに、後には300人のオペレータを束ねるまでに成長しました。自社センターで経験を積んで評価されると、「自分はなんでもできる」と思いがちです。研究会に参加した他社のSVと一緒に学び、「できていないこともある」と認たことが成長のカギになったのでしょう。
和田 私が素晴らしいリーダーとして印象に残っているのは、委託していたテレマーケティング会社のSVで、ホテル業界から転職したという30代後半の女性です。バイタリティがあって、ホスピタリティの高い、キャリア志向のある人でした。ディスカッションの場面ではファシリテーションに長けて、どんな意見も否定しない雰囲気作りが上手でしたね。参加者の意見が活発になっても、上手くタイムマネジメントをして、より良い結果に導いていました。普段から、“楽しく仕事する”を実践している人柄が、彼女と一緒に仕事をしたいと思わせるのでしょう。周囲を巻きこむ力がありました。挨拶ひとつとっても、された側をその気にさせることができる方でした。
優れたリーダーの共通点「任せて、巻き込むチカラ」
矢島 センターをまとめる立場のセンター長にも、周りも巻き込む力が必要だと思います。これまでのマネジメント・オブ・ザ・イヤーの受賞者もそのような人が多かったと記憶しています。
谷口 センター長には、「教育者」「経営者」の2つの要素が必要です。業種業態を問わず、コンタクトセンターは多様な属性、年齢の人が勤務します。学校の校長先生に例えるなら、生徒となる部下の成長の見守り、安心安全に働ける環境作り、働く人の人格形成にも影響を与える存在です。一方、経営者の側面では、組織やトレンドの変容に対応できるリーダーシップが求められます。当然、コスト削減も考えなくてはなりませんし、デジタル全盛のいまはリテラシーに関する知見も高めなくてはなりません。いわゆるCCO(チーフ・カスタマー・オフィサー)としての役割やスキルが期待されます。
矢島 他にセンター長に必要な要素がありますか?
谷口 体力と、「人に任せる」という判断力ですね。特に外資系では、時差の関係から会議や打ち合わせは夜になることも多く、寝る時間を削る激務です。常にポジティブ思考を維持するためにも、人に仕事を頼まないと体力が持ちません。ですから、仕事に優先度をつけ、割り切る力もセンター長には必要です。
和田 自分の強みと弱みを認識して、弱いところは助けてもらうようにしないと、センター長などリーダー職はつらいと思います。自分の弱みや苦手な部分を見せて、一緒にやってほしいと頼める。寺下さんのおっしゃるように、いかにプライドを捨てられるかも関わってきますね。
寺下 優れたリーダーには特徴が3つあると感じます。まず、KPIなど成果への執着心。センター全体で結果が求められるので、自分だけが優秀でもダメです。そして前向きさ。笑顔で仕事を楽しむ姿勢です。具体的には、“無理”などのマイナス発言をしないこと。最後が、新しいことにもチャレンジできる姿勢。バイタリティのある人が印象に残るのは、すぐあきらめずに、自らを極める努力を怠らないからだと思います。
矢島 みなさんがあげる“リーダー像”は、過去のアワード受賞者の特徴にも通じていますね。最後に、応募を考えている人へのメッセージをお願いします。
寺下私も、2014年の「リーダー・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、今は独立して審査員まで務めることにもなりました。当時、エントリー用紙を書くことで自身の振り返りができ、第三者に評価してもらったことが、成長につながったと思います。ご本人はもちろん、優秀な部下を推薦いただくことも成長を助けることになります。応募をお待ちしております。
和田 日々の業務に追われていると、振り返りは難しいものです。寺下さんのおっしゃる通り、申請用紙を書くなかで自然と、自身の強みや、なりたい姿を発見できます。マイルストーンを設定することにも役立つでしょう。また、他のセンターの取り組みを知ったり、横のつながりを作れたりと、仕事をしていくうえでの励みにもなります。
谷口 これまでの受賞者は、会社や業界におけるロールモデルになり得る人が多いと思います。人と相対するセンターの役割や良さが理解できていて、リーダーという自分のポジションですべきことが分かっている方々です。自分には難しいと感じる方が多いかもしれませんが、客観的に評価されることで得られる気づきも多いはず。ぜひトライしてみてください。表彰制度は年1回だけです。人生を変えるかもしれないきっかけを、ぜひつかんでください。
なお個人賞の募集要項や申請・審査に関するスケジュールは同アワードのWebサイトで確認可能。申請説明は動画でもアップロードしている。
座談会では、センター・マネジメントや人材育成の経験豊富なクリエイトキャリア代表の寺下 薫氏、オルビスの和田 恵里子氏と、アワード事務局のイー・パートナーズ代表の谷口 修氏が出演。ファシリテーターは月刊コールセンタージャパン編集部 編集長の矢島 竜児が務め、「人が資産のコンタクトセンター、期待するのはこんな人」をテーマに議論した。以下、採録する。
矢島 これまでのご経歴において印象に残ったSVやリーダー、理想のセンター長について教えてください。
寺下 ヤフーで勤務する傍ら、他社のSVの皆さまを対象に「SV研究会」を主宰し、これまでに230人以上のSVの皆さまに研修してきました。研究会で印象に残っているのは、当初、まったく目立たない存在だった人たちがその後、センター長やリーダーになるケースが意外と多いこと。そういう方々は謙虚なだけに「吸収力」があって、ちょっとしたきっかけでどんどん伸びていく印象があります。
谷口 吸収力とは、具体的に?
寺下 自分に足りない部分を自覚し、プライドを捨てられる。結果、自ら学ぼうとする姿勢が身についているのではないでしょうか。例えば、インフラを提供する企業のSVさんがいたのですが、参加時点では5人程度のグループリーダーに過ぎなかったのに、後には300人のオペレータを束ねるまでに成長しました。自社センターで経験を積んで評価されると、「自分はなんでもできる」と思いがちです。研究会に参加した他社のSVと一緒に学び、「できていないこともある」と認たことが成長のカギになったのでしょう。
和田 私が素晴らしいリーダーとして印象に残っているのは、委託していたテレマーケティング会社のSVで、ホテル業界から転職したという30代後半の女性です。バイタリティがあって、ホスピタリティの高い、キャリア志向のある人でした。ディスカッションの場面ではファシリテーションに長けて、どんな意見も否定しない雰囲気作りが上手でしたね。参加者の意見が活発になっても、上手くタイムマネジメントをして、より良い結果に導いていました。普段から、“楽しく仕事する”を実践している人柄が、彼女と一緒に仕事をしたいと思わせるのでしょう。周囲を巻きこむ力がありました。挨拶ひとつとっても、された側をその気にさせることができる方でした。
優れたリーダーの共通点「任せて、巻き込むチカラ」
矢島 センターをまとめる立場のセンター長にも、周りも巻き込む力が必要だと思います。これまでのマネジメント・オブ・ザ・イヤーの受賞者もそのような人が多かったと記憶しています。
谷口 センター長には、「教育者」「経営者」の2つの要素が必要です。業種業態を問わず、コンタクトセンターは多様な属性、年齢の人が勤務します。学校の校長先生に例えるなら、生徒となる部下の成長の見守り、安心安全に働ける環境作り、働く人の人格形成にも影響を与える存在です。一方、経営者の側面では、組織やトレンドの変容に対応できるリーダーシップが求められます。当然、コスト削減も考えなくてはなりませんし、デジタル全盛のいまはリテラシーに関する知見も高めなくてはなりません。いわゆるCCO(チーフ・カスタマー・オフィサー)としての役割やスキルが期待されます。
矢島 他にセンター長に必要な要素がありますか?
谷口 体力と、「人に任せる」という判断力ですね。特に外資系では、時差の関係から会議や打ち合わせは夜になることも多く、寝る時間を削る激務です。常にポジティブ思考を維持するためにも、人に仕事を頼まないと体力が持ちません。ですから、仕事に優先度をつけ、割り切る力もセンター長には必要です。
和田 自分の強みと弱みを認識して、弱いところは助けてもらうようにしないと、センター長などリーダー職はつらいと思います。自分の弱みや苦手な部分を見せて、一緒にやってほしいと頼める。寺下さんのおっしゃるように、いかにプライドを捨てられるかも関わってきますね。
寺下 優れたリーダーには特徴が3つあると感じます。まず、KPIなど成果への執着心。センター全体で結果が求められるので、自分だけが優秀でもダメです。そして前向きさ。笑顔で仕事を楽しむ姿勢です。具体的には、“無理”などのマイナス発言をしないこと。最後が、新しいことにもチャレンジできる姿勢。バイタリティのある人が印象に残るのは、すぐあきらめずに、自らを極める努力を怠らないからだと思います。
矢島 みなさんがあげる“リーダー像”は、過去のアワード受賞者の特徴にも通じていますね。最後に、応募を考えている人へのメッセージをお願いします。
寺下私も、2014年の「リーダー・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、今は独立して審査員まで務めることにもなりました。当時、エントリー用紙を書くことで自身の振り返りができ、第三者に評価してもらったことが、成長につながったと思います。ご本人はもちろん、優秀な部下を推薦いただくことも成長を助けることになります。応募をお待ちしております。
和田 日々の業務に追われていると、振り返りは難しいものです。寺下さんのおっしゃる通り、申請用紙を書くなかで自然と、自身の強みや、なりたい姿を発見できます。マイルストーンを設定することにも役立つでしょう。また、他のセンターの取り組みを知ったり、横のつながりを作れたりと、仕事をしていくうえでの励みにもなります。
谷口 これまでの受賞者は、会社や業界におけるロールモデルになり得る人が多いと思います。人と相対するセンターの役割や良さが理解できていて、リーダーという自分のポジションですべきことが分かっている方々です。自分には難しいと感じる方が多いかもしれませんが、客観的に評価されることで得られる気づきも多いはず。ぜひトライしてみてください。表彰制度は年1回だけです。人生を変えるかもしれないきっかけを、ぜひつかんでください。