理不尽な要求に「NO」を伝える!
タイプ別「クレームにならない断り方」
応対品質研究所 竹内幸子
顧客に寄り添うことを教育されているコールセンターなどのCS部門は、顧客の要求を「断る」ことが苦手な傾向が強い。断ったことでクレームに発展することもあるため、苦手意識はストレスにもつながる。断り方のポイントは、基本の型を知ることと、相手のタイプに合わせた伝え方だ。
「お客様に寄り添うこと」と「断ること」は確かに相反する行為だ。しかし、断りの基本型と、その上手な伝え方を知っていれば、その両立はできる。上手に断ることは、顧客を失わないだけではなく、応対者の心身を守ることにもつながる。
断りの基本型は、(1)質問、(2)代替、(3)予感、(4)結論、(5)理由、(6)善処、(7)詫びの7つのステップだ(図1)。とくに重要なのは、「(5)理由を明らかにする」ということだ。これを曖昧にすると、次々と出てくる顧客の言い分に振り回されることになる。「理由」を準備してから伝えることが肝要だ。
図1 断りの基本型
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断りの基本型を使うだけではなく、相手のタイプに合わせた応対の“濃淡”も必要だ。ここでは、行動科学に基づいた4タイプの対処方法を紹介する。
図2のように、行動特性によって、ライオン・タヌキ・ウサギ・オオカミの4タイプに自身(応対者)と顧客を分類してほしい。それぞれの特徴は、結論から話すライオンタイプ、感情表現豊かに話すタヌキタイプ、経過から話すウサギタイプ、理由を話すオオカミタイプとなる。
相手がどのタイプかを把握したうえ、もっとも心地よいと感じるコミュニケーションを取る。図2の斜め矢印の関係性に着目してほしい。斜めの関係性は、正反対の思考タイプを持っているため、自分が普段行っているコミュニケーションで相手に接すると話がこじれやすい。相手のタイプを知ることで、相手が欲するものを差し出すことができ、結果、お互いにストレスが減り、応対の幅を拡げることにつながる。
図2 4タイプの特徴
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