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2021年4月号 <わたちゃんのかすたま〜えくすぺりえんす>

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わたちゃん

<著者プロフィール>
職業:顧客経験価値にこだわる戦略立案&業務改革コンサルタント
過去勤めたことのある企業:日本ユニシス、日本IBM、日本テレネット
週末の過ごし方:
<ケース1>隅田川あたりをぶらぶら散歩して浅草で飲んだくれたあと銭湯で汗を流す
<ケース2>スポーツジムでヨガレッスンを受けて汗を流す
最近の悩み:昔は痩せの大食いだったのが、最近は小食の小太りになっていること

コロナ禍で高まる「購買体験」
欲求に欠かせない“DX”

ISラボ 代表 渡部弘毅

 DXはDigital Transformationの略でXは登場しないのに、なんでDXなんだろう? と思っていた、わたちゃんです。英語圏では「trans-」の略に「X」を使うからという理由だそうです。CX、EX、DXとさまざまな略語が飛び交っていて、頭が混乱してしまいそうです。

 ある小売企業が自社の会員に対してコロナ禍における意識を調査した結果、3つの重要な事実がわかりました。

 まずは、利用頻度が増えたオンラインストアに対する顧客のストレスが高まり、ロイヤルティに悪影響をおよぼしていること。そして、オンラインへの購買シフト傾向はあるものの、顧客の大半は実店舗をメインにしたいと考えており、「実物を見て接客を受けたい」というニーズがコロナ以前より増していること。最後は、クリック&コレクトやクリック&リザーブといったオンラインと店舗の連携への期待値が高まっていること、です。

 この結果から、コロナ禍においては、オンラインへの極端なシフトではなく、実店舗が新たな価値を提供するオムニチャネルサービスの推進が重要であるといえます。

 マーケティングの神様である、フィリップ・コトラーは自身の書籍「コトラーのリテール4.0」(2020年4月)で、「リテールとは、商品をバッグに入れさせることではない。顧客体験が最優先事項になった」と主張し、オムニチャネル体験の重要性を説いています。

 一方、日本の小売業におけるオムニチャネル化の狙いの多くは商品主体で、「商品をレジに通すまで」が焦点になっています。

 本来の日本人のDNAに基づいた小売業とは、顧客主体で、購買体験の充実、さらには販売した商品で顧客の生活を豊かにすることが目的のはずです。そうした小売りの原点に戻る機会がコロナ禍で到来したのかもしれません。

 そして、あるべきオムニチャネルの実現にはDXが欠かせません。商品主体のビジネスモデルから顧客主体のモデルに変革するのです。デジタル技術を使って、常に顧客とつながり、顧客の行動や感情を把握しながら寄り添って購買体験や生活を豊かにする小売りとして生まれ変わる必要があります。

 あるべきオムニチャネルサービスを構築するにあたって、ますます重要な役割になるのが、カスタマーサービス(CS)部門です。

 今までCS部門は、商品販売後の問い合わせや苦情対応の部署として、どちらかというと受け身の業務を実施していました。しかし、今後は顧客の生活を豊かにするという本来の目的を達成するために、プロアクティブな業務が求められてくるようになります。DXによるあるべきオムニチャネルには、CS部門が欠かせない重要な組織になるのです。

 まぁ、それでも「DXにはEXに支えられたCSのよるCXが重要です」というのは、宇宙人の会話にしか聞こえないのも事実ですが……。

図 本コラムでよく使うXがつく略語

図 本コラムでよく使うXがつく略語


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