<コーナー解説>
店舗など、コールセンター以外を含めた接客やサービスのプロにその心構えやノウハウを聞きます。
ショーを盛り上げ、観客を惹きつける
「アドリブ力」を支える情報収集力と観察力
マクセル アクアパーク品川
トレーナー
守屋 惣次郎 さん
Profile
専門学校で海洋生物について学ぶ。卒業後は12年間、マクセル アクアパーク品川でトレーナーとしてショーなどに出演。
「イルカという生き物や、その魅力について少しでも知ってもらいたい」──そう力強く話すのは、マクセル アクアパーク品川 トレーナーの守屋惣次郎さんだ。
同水族館でも、とくに人気の高いイルカショー。主役はもちろんイルカだが、そのイルカにサインを送り、ショーを作り出すのはトレーナーだ。音楽や細かい演出は、トレーナーが自ら企画して作り上げることもある。
最近では、会話を控える感染症対策から着想を得た、「Let'''s」という昼のショーが好評だ。このパフォーマンス内ではMCや音楽を遮断。無音のなかでイルカの鳴き声や水しぶきの音を響かせる。感覚を研ぎ澄ませた状態で、イルカたちの躍動を感じることができる。このように、社会情勢をも踏まえ、常に新しいショーを生み出し続ける。
ショーの進行や演出は事前に決まっているものの、アドリブを多く盛り込むのが守屋さん流だ。例えば、観客席にカップルが多ければ、ムードのあるひと言を添え、小さな子どもが最前列にいれば、イルカがそこにとどまる時間を長く調整する。熱心に観察している顧客を見つけたときは、イルカの行動の意味など解説を挟み、イルカへの関心を高める。
「お客様の傾向や雰囲気は日々、変化します。臨機応変なパフォーマンスを心がけています」(守屋さん)。臨機応変な演出とは、観客からいま求められていることを察知する力、共演する他のトレーナーの意図を理解する観察力とチームワークによって成り立っている。