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2020年11月号 <インタビュー>

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和里田 聰 氏

ネット証券の弱点「投資サポート」に挑戦
老舗が切り拓くセンターの新しい役割と機能

松井証券
代表取締役社長
和里田 聰 氏

ネット証券は、自己解決の促進で成長してきた。25年ぶりの社長交代で、新たな戦略にかじを切るのが、老舗の一角、松井証券だ。新社長に就任した和里田氏は、改めて「デジタルCX(顧客体験)の見直し」を訴求。カスタマーサポートの担当役員として蓄積した知見をもとに、コールセンターにも新たな付加価値を見出している。

Profile

和里田 聰 氏(Akira Warita)

松井証券 代表取締役社長

1994年に一橋大学商学部を卒業後、プロクター・アンド・ギャンブル・ファー・イースト・インク、リーマン・ブラザーズ証券、UBS証券を経て、2006年に松井証券に入社、IR室長に就任。営業開発や顧客サポート部門の統括を担当、2020年6月に代表取締役社長に着任した。

──今年6月に社長に就任されましたが、ネット証券を取り巻く環境や事業課題をどう見据え、松井証券をどうリードしていきたいと考えていますか。

和里田 ネット証券は、対面販売に対してこれまで優位性を示していた手数料の安さが今では当たり前となり、過当競争の時代に入っています。そもそも金融商品そのものはどの会社が提供しても同じもので、ツールの差別化も大きな差異を見出しにくい。オンライン証券経由の個人の取り引きが増加しても、投資人口自体が増えているわけではありませんので、当社としては、顧客を囲い込むだけではなく、いかに顧客を広げていくかも課題です。そのためにも、顧客体験(CX)に着目したサービスの見直しが不可欠だと考えています。

──具体的には。

和里田 証券会社のお客様にとっての最大の顧客体験価値は、「収益を上げること」です。しかし、従来、ネット証券の基本的なスタンスは「その収益を上げるための環境をできるだけ整えることはしても、それをどのように活用するかはお客様次第」というものでした。もともと金融商品は生モノですから、どの会社のどのサービスを選んでも、収益が確約されるわけではありません。ところが、とくに若年層に多い傾向なのですが、リスクを取ることを極端に嫌う傾向が強い。ですから、正しい投資の知識を身につけていただき、表面上のリスクももちろん加味したうえで、長期的な資産運用を手助けする必要があります。

 つまり、必要なのは“本質的な投資のサポート”という付加価値の提供です。例えば、口座を作ったものの何をしたらいいか分からないというお客様も多くいらっしゃいます。もちろん銘柄の購入や資産運用に手取り足取り、密接に関与するわけにはいきませんが、最初の一歩を有人対応で後押しするための相談窓口は必要です。具体的には、4000銘柄以上ある上場株式のなかで、「この値動きはこのような見方ができます」など、収益を上げるために自走するきっかけ作りやサポートです。

──コールセンターの役割が大きく広がりますね。

(聞き手・生嶋彩奈)
続きは本誌をご覧ください


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