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2020年1月号 <特集>

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特集扉

“CX革命”をもたらす
「エフォートレス」の手引き

Part.1 <現状と課題>

チャットボットではロイヤルティは向上しない!
CX高める「真のエフォーレス」の要諦

チャットボットの導入意欲がピークを迎えつつある。しかし、ほとんどの事例が採用している「FAQのナビゲート」では、カスタマーエクスペリエンスも生産性も向上は難しいのが現状だ。顧客の利便性を可能な限り高め、導入企業の生産性を高める「自動化」の姿と、“真のエフォートレス”のあり方を検証する。

 セルフサービス化を図る企業(センター)が、もっとも熱い視線を送っているのがチャットボットだ。2015年以降のAIブームを契機に、AIを搭載し顧客の疑問に応えるチャットボットが急増、提供ベンダーも数多い。

 現在、主流のチャットボットは、FAQをベースにWebサイトのコンテンツをナビゲートするタイプである。現在は、コールセンターに電話をかけた消費者の多くがFAQを検索している。にも関わらず、「解決しないから“電話をかけざるを得ない”」というのが実情だ。解決しないFAQをベースにチャットボットを導入しても、たどり着くコンテンツが同じでは解決するはずはなく、電話も減らない。

 本特集では、「チャットボットの使い方」を再検証するとともに、事例各社の取り組みやCXの観点から“エフォートレス”のあり方を検証する。

図1 企業にも顧客にもメリットが大きい「エフォートレス」の考え方

図1 企業にも顧客にもメリットが大きい「エフォートレス」の考え方

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Part.2 <ケーススタディ>

請求、照会、注文、変更──
自動化を極めてロイヤルティ向上を図る

注文や照会、請求などの手続き処理は、Webサイトのマイページやスマホアプリでの処理が主流だ。しかし、これは画面遷移やアプリの切り替えなど、UIに大きな課題を抱えている。Part.2で取り上げる4社は、LINEやチャットボット、あるいは電話での音声認識でそれらを正真正銘のワンストップで実現。合わせて社内業務のエフォートレスにも一部、成功している。

CASE STUDY 1:アニコム損害保険

LINEで保険金請求の時間を95%削減!
「紙」の仕分け、クリッピング作業も省力化

 年間300万件以上も発生する保険金の支払い業務。かつてそのプロセスは、顧客にとってもアニコム損害保険にとっても大きな手間がかかっていた。

 同社は、請求をメッセンジャーアプリ「LINE」で受け付けることで、それまで郵送かつ紙で処理していたプロセスの自動化とペーパーレス化に成功。顧客は請求に要する時間を95%も削減でき、同社は3種類の書類のクリッピング作業を省力化している。

図2 アニコム損害保険の事例と顧客の声(つぶやき)

図2 アニコム損害保険の事例と顧客の声(つぶやき)

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CASE STUDY 2:アスクル

ボット最大の難関「個別対応」に挑戦
画面遷移ナシで完了できるCX向上施策

 通販会社のアスクルは、一般消費者向けに日用品ショッピングサイト「LOHACO」、事業所向けの通販サービス「アスクル」を展開している。問い合わせ対応は、メール、電話に加え、チャットボットを採用。LOHACOでは2014年9月より「マナミさん」を、アスクルWebサイトでは2017年4月より「アオイくん」を導入している。マナミさん、アオイくんともに、主な役割はFAQをベースとした問い合わせ対応だ。

 チャットボットによる顧客対応で、もっとも大きな難関とされているのが、「データベースに基づいた個別対応」だ。例えば、「注文をキャンセルしたい」という問い合わせに対し、従来の同社を含む通販会社のほとんどのチャットボットは「購入履歴画面から可能です」など、すべての顧客に同じ回答を提示している。

 しかし同社では、2019年春からアオイくんで個別対応を開始。キャンセルの問い合わせに対しても「X月Y日のご注文分でしょうか?」といった個別の取引履歴に基づいて回答している。対象となる問い合わせは「注文キャンセル」以外にも、「領収書発行」「請求書再発行」「配送状況確認・配送日変更」の4点。「配送日変更」に関しては、これまでサイト上でも受け付けていなかった新しい機能だ。

図3 アオイくんのトークフロー

図3 アオイくんのトークフロー

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CASE STUDY 3:あいおいニッセイ同和損害保険

自然災害時の「顧客体験」をデジタル化
社内業務の省力化にも成功

 自然災害のたびに大量のコールと請求処理の業務が発生する損害保険会社。その処理業務には膨大な人手と時間が必要となる。

 あいおいニッセイ同和損害保険は、コンタクトセンターを中心としたさまざまな施策で顧客および社内業務の“エフォートレス”を推進している。

 取り組みを大きく整理すると、(1)集中呼に対応するための体制の強化、(2)防災・減災の観点から、被災予測を公開、あるいは通知する新サービス、(3)チャットボットやRPAによる手続き業務の簡略化──の3点だ。

 図4は、事故受付の際のIVRのフローだ。2019年は、「Webによる事故連絡をご希望の方」というガイダンスを追加。選択した顧客に対してショートメッセージを送信し、受付サイトのURLへナビゲートした。そこで受付した案件はRPAで自動処理する仕組みを採用し、顧客、企業双方でのエフォートレス化に成功している。

図4 事務受付の際のIVRのコールフロー

図4 事務受付の際のIVRのコールフロー

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CASE STUDY 4:生活協同組合 コープこうべ

音声認識率は80%以上!
利便性を強化した無人注文システム

 コープこうべでは、約10年前、IVRを活用した「無人注文システム」を構築したが、電話注文があふれ呼となった場合に自動転送される仕組みで、合成音声の品質もあまり高くなかったこともあり、注文完了率は約35%(コール数で集計)にとどまっていた。そこで、2018年に見直しを決定。音声認識を活用した新たな自動音声注文システムを構築した。新システムは、電話注文からの自動転送を廃止し、自動音声注文に別の電話番号を割り当て、直接、注文受付を可能にした。受付時間は旧システムよりも延長した7時〜24時、プッシュボタンもしくは音声認識を活用して注文できる仕組みで、利用者の約60%が音声認識を選択している。

図5 自動音声注文システムのコールフロー概要

図5 自動音声注文システムのコールフロー概要

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