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2019年12月号 <特集>

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特集扉

採用難時代の
「ピークマネジメント」

Part.1 <現状と課題>

「成熟度」「総合力」が問われる!
ピーク対応“7つのポイント”

呼量予測、サービスレベルの設定と検証、コールリーズンの分析。この3つはマネジメントの基本であり、業種、規模を問わずすべてのセンターが取り組むべき要素だ。とくに人手不足下におけるピーク対応では、こうした「基本」を踏まえているか否かで、顧客体験における大きな差が生じる。オムニチャネル、自動化、人材管理などと合わせ、ピークマネジメントにおけるポイントを検証する。

 コールセンター・マネジメントの実力が問われる局面。そのひとつが、「ピーク対応」だ。 想定外の呼量増に対応するためにも、「日々のマネジメントの練度・成熟度」を高める取り組み──呼量予測、KPI管理(サービスレベルの設定)、コールリーズンの把握と分析といった“基本”の実践は欠かせない。しかし、2019年の「コールセンター実態調査」は、これらの取り組みレベルの低下──つまり成熟度の低下がうかがい知れる結果が出ている。

 いかなるパターンにも即応し「ムリ・ムダ・ムラ」を可能な限り排除したマネジメント、言い換えれば、「ピーク時にもCS(顧客満足)、ES(従業員満足)を維持し、コストを最適化できるマネジメント」のポイントを改めて整理する。

図1 ピーク対応「7つのポイント」

図1 ピーク対応「7つのポイント」

※画像をクリックして拡大できます

Part.2 <ケーススタディ>

「突然の呼量増」への特効薬はない!
“基本”を重視した熟練4社の取り組み

つながらないセンターは、CSはもちろん、ESにもネガティブな影響を与える。しかし、ピークマネジメントには、特効薬も魔法も存在しない。原因を日々分析し、人材育成に励み、派遣会社との関係強化を図る。こうしたセンター運営の基本を踏まえることで現場に余裕が生じ、新しいアイデアが湧く──成熟度、総合力の高い4社の取り組みを追う。

CASE STUDY 1:ダイキン工業

7倍の繁閑差を克服する
「短期契約のリピーター」醸成の秘訣

 コンタクトセンターにとって、繁閑を問わず安定した接続品質を維持したマネジメントは、理想であり永遠の課題でもある。

 空調機や空気清浄機を製造しているダイキン工業では、エアコンの使用が増える夏季に、コンタクトセンターへの入電数が跳ね上がる。1日あたりの入電数に至っては平均の7倍に達することもあり、繁閑差は非常に大きい。そこで、ピークマネジメントに着手。取り組みは大きく分けて(1)チャネル改革、(2)夏季限定のリピーター採用の2点だ。

 チャネル改革では、電話での問い合わせを他のチャネルに移行することを目的に、Web受付ページの導線の改善、故障自動診断の導入、FAX受付のEDI化による自動入力を実施した。“リピーター採用”の強化では、派遣会社と連携して、リピート意欲を喚起するイベントの開催などを開催し人材を確保している。

CASE STUDY 2:KDDI

「電話をかける理由」をなくす!
ポイントは日次のコールリーズン分析

 KDDIでは、想定以上の呼量、あるいは突発的な呼量増にも対応するため、常に余剰人員を備えて、研修や休憩時間の割り振りなどを調整してシフトを見直している。また、台風などの天災は、呼量増がある一方でオペレータの出勤が困難になり必要要員数を満たすことが難しくなるため、全国16カ所におよぶ多拠点運営を活かし、予測進路から外れたセンターで集中対応するよう調整している。

 さらに、FAQを日次で見直し、セルフサービスによる解決を強化する一方、携帯電話の紛失が増える年末時期に、紛失した場合の対応を記したメールを送るといった“アクティブサポート”も実施。さまざまな施策で呼量の増加を抑制してる。

CASE STUDY 3:松井証券

リモートサポートから動画活用まで
余裕ある採用と配置が生む「現場の知恵」

 証券会社は、呼量予測がもっとも難しい業種のひとつだ。証券取引が活況になれば、問い合わせも増える。つまり、呼量が景気に左右されるため、短期、中長期を問わず正確な予測は不可能に近い。さらに繁閑差も大きい。1日あたりの呼量は、少ないときで約750件。多い時はそれが4倍にまで増える。

 松井証券のコンタクトセンターでは、常に最大要員数を揃え、突発的な呼量増に備えている。センターでは対応可能な呼量を超えるときは、SVをはじめとした管理職や本社社員も対応に加わる。システム障害が発生した場合は、別途、専用ダイヤルも開設する。

 一方、閑散期は次の繁忙期に備えてアイデアを練り、対策を考える時間とする。実際に、リモートサポートの活用や新人育成、人材定着のための施策など現場発のアイデアで繁忙期を乗り切っている。

CASE STUDY 4:ジュピターショップチャンネル

人を育て、チャネルを増やす
「総合力」を磨き機会損失を防ぐ

 テレビ通販は、仕事や家事から解放された夜中に買い物を楽しむ顧客が多い。このため、ジュピターショップチャンネルでは毎日、0時に目玉商品を紹介している。受注センターでは、呼損=機会損失であるため、ピークほど高い応答率を維持する必要がある。しかし、深夜の要員確保は決して容易ではない。人材定着だけではなく、IVRやWeb、アプリなどを活用した確実な受注体制が同社のピークマネジメントのポイントだ。

 呼量が予測を上回りつながりにくくなった場合は、生放送である利点を活かし、よくある質問に対する回答をテレビで案内することで問い合わせの重複を防ぐ。センターでは、常にSVが巡回し、問い合わせ傾向を把握し、それを集約した社員がスタジオのセールスプロデューサーに伝えている。


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