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2019年10月号 <わたちゃんのかすたま〜えくすぺりえんす>

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わたちゃん

綿密な調査で見出すロイヤルティ向上の「機会」

ISラボ 代表 渡部弘毅

 小さいころからプレゼント交換という儀式に慣れていない環境に育ったせいか、結婚してからカミサンに誕生日プレゼントを贈った記憶がない、わたちゃんです。感謝はしていますが、「いまさら!?」という感じですね。

 百貨店のロイヤルティ調査の際、ギフト商品の購入頻度に基づいたセグメントを定義し、それ以外の顧客セグメントとロイヤルティを比較しました。すると、他のどんな項目よりもロイヤルティに差が大きいセグメントが、このギフト商品の購入頻度だったのです。つまり、ギフト商品の購買頻度が高いお客様ほど、その百貨店へのロイヤルティが高かったのです。プロジェクトの担当者は、この相関関係をある程度は想定していましたが、これほど強く傾向が表れたことには驚いていました。

 この結果から、「ギフト商品や、その購買プロセスを磨くと、百貨店へのロイヤルティが高まり、それ以外の購入にも好影響をおよぼす」ことが考察できます。

 しかしながら、「ギフトの利用頻度が高まるからロイヤルティが高まる」のではなく、「ロイヤルティが高いからギフトの利用頻度が高くなる」という因果関係も想定できるため、「ギフト商品やその購買プロセスを磨くことは重要な施策だが、圧倒的な決定打とは言えない」とも考えていました。

 そんななか、別のプロジェクトで通販会社のロイヤルティを調査する機会があり、顧客体験のアンケートを分析した結果、100程度のポジティブな体験の中で、最も心に触れてロイヤルティに高影響を与えている体験は、「ギフト品のラッピングの種類が豊富で良いと思った」という体験だったことがわかりました。2位も、「ギフト品を送った相手や紹介した相手から喜ばれて嬉しかった」という体験でした。

 一般的に、ギフトのラッピングの種類の削減は、コストダウンの対象になりやすいと考えられます。しかし、ロイヤルティ向上という視点からは、ラッピングの種類を減らす施策は避けるべきという判断になります。

 この百貨店と通販会社の2つの事例からは、ギフトの購買プロセスでの心地よい体験は、お客様の心に響き、ロイヤルティを向上させる大切な要因であることがわかります。送る機会はそれほど多くはありませんが、ギフトという特別な買い物をする際の顧客体験は、お客様のロイヤルティに大きく影響し、他の買い物への波及効果が高いということです。従って、ギフト購入者により良い体験を提供するとともに、積極的な販売促進でギフトの機会を増やすことが重要な施策といえます。

 ということで、さっそく我が家も実践です。今年は誕生日プレゼントをしてみました。これで、数年は大丈夫のはずです。ところが予想に反して、「あんた、後ろめたいことあるんでしょう!」のひと言。夫婦関係は小売りにおけるお客様との関係のようにはいかないようです。別の手を考えます。

図 ロイヤルティ調査からの知見

図 ロイヤルティ調査からの知見


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