一歩先ゆく『対シニア戦略』・上
超高齢社会に必要なリスクマネジメント
消費者の声研究所代表 消費生活アドバイザー 増田 由美子
カスタマーサービスのデジタルシフトが進んだことで、電話をかける顧客の大半がシニアに偏っているセンターは少なくない。コールセンターに電話をかけるのも、それを受けるのもシニア──そんな時代が到来する可能性すらある。シニア対応とシニア活用について現状と課題を2回にわたり検証する。
自社顧客や消費者の長期にわたる『老齢期』にどう対峙しながら、市場・顧客として自社ビジネスへの寄与をどのように考えるのか、人材としてデジタル・ネイティブ世代とどうやって共生させていくのか、加齢に伴うハラスメントや認知症疾患の増加といった企業リスク・CSR視点も含めた俯瞰的・戦略的な視点から高齢者問題を整理することが必要だ。
図は、企業と高齢期を俯瞰的に整理したものだ。とくに「リスク&CSRのバランスポイント」の視点は、議論されているケースが極めて少ない。結果、顧客最前線のセンターに高齢顧客のハラスメントやコスト増、フロント人材の疲弊など問題事象が集中している。会社としての対応方針を待つだけでなく、管理者は現場の人材を組織として守るためにも、できることから手を打っていくことが求められている。
図 シニアの状態とリスク
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