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2019年6月号 <サービスのプロに聞く>

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hitomi さん

<コーナー解説>
店舗など、コールセンター以外を含めた接客やサービスのプロにその心構えやノウハウを聞きます。

居心地良いサードプレイスは密接な交流から
求心的なリーダーシップで輪を広げる

人狼HOUSE
渋谷本店 店長
ふなこ さん

Profile

一緒に人狼ゲームをプレイしていた仲間(現オーナークマ)が、誰でもいつでも気軽に人狼ゲームが出来る場所を作りたいという目標を持っており、人狼HOUSEの創業当初からスタッフとして協力してきた。店長兼ゲームマスターであり、店内でゲームの進行役や解説を行っている。

 嘘をついたり、見破ったり──こうした非日常を楽しめる、「人狼ゲーム」。「村人」「人狼」の各陣営に分かれ、議論による多数決で負けたプレイヤーを追放し、最後に生き残った陣営が勝つというものだ。議論の進め方や掛け違い、「嘘」「ハッタリ」や「言葉尻」ひとつで戦局が左右される、「言葉」を武器にして闘うコミュニケーションゲームである。

 人狼HOUSE渋谷本店の店長兼ゲームマスター(以下、GM)のふなこさんは、持ち前の明るさと学級委員長のようなリーダーシップで、店舗に集まる多くの顧客(プレイヤー)に慕われている。

人狼ゲームは、複数のプレイヤーと進行役が必要になるが、人狼HOUSEでは1人で来店してもプレイできる。

 ストレスフルな現代社会においては、自宅や職場(学校)で見せる顔とは異なる自分になれる、“第3の居場所”を持ちたいという人も少なくない。1人で来店するプレイヤーにとって、人狼HOUSEはそうした「サードプレイス」の役割を果たしている。

 1人で来店した場合でもすぐにゲームを開始できるようにするためには、店内に多くのプレイヤーが“常駐”していることが不可欠だ。ふなこさんは、「“家”のような居心地を作る」ことで、常に多くのプレイヤーが集まる環境を整えてきた。「1人ひとりの名前や人柄、ゲームプレイの特徴を覚え、丁寧にコミュニケーションをとることを心掛けています」とその秘訣を明かす。また、他プレイヤーとの交流を促すこともある。プレイヤーとGMの間にも交流が生まれ、サークルのようなコミュニティに発展する。結果、人が人を呼び、常にプレイヤーが絶えない環境が醸成されている。

 人狼ゲームにおいては、議論が白熱化してプレイヤー同士が衝突した結果、人間関係にまで影響をおよぼすこともある。

 「GMは戦局について介入するべきではありませんが、すべてのプレイヤーが快適に過ごせるよう、マナーに関しては口を出すことがあります」と話すふなこさんは、ゲーム中のプレイヤーの発言すべてに耳を澄まし、不快感を感じるような態度をとるプレイヤーがいると判断した場合は、ゲームの一時停止を呼びかけることもある。

 また、発言するプレイヤーが偏らないよう、あまり話せていないプレイヤーの発言を促したり、他のプレイヤーの話を聞いていないプレイヤーがいるときには傾聴を促すこともある。寄り添うだけではなく、リーダーシップも発揮するふなこさんに信頼を寄せて通い続けるプレイヤーは数多い。

 コールセンターに限らず、ほぼすべての職場はコミュニケーションが欠かせない。世代間の隔絶が問題視されるいま、こうした「他人と関わるゲーム」に興じる、あるいはその達人に学ぶこともリーダーになるためには必要なのかもしれない。


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