お客様との最適な“距離感”を考えよう
ISラボ 代表 渡部弘毅
生後1年の孫娘が来るのを楽しみにしているわたちゃんです。でも最近人見知りが激しくて、抱っこすると泣かれてしまい、悲しい気持ちになっています。
人間同士がコミュニケーションする際には、お互い気持ちの良い“距離感”があります。初対面の人とは少し距離があり言葉遣いもぎこちないですが、だんだん親しくなってくるとその距離感は縮まり、会話もフランクに弾むようになります。また、相手の個性によっても距離感は違います。一方、距離が縮まったと思ってフランクに会話をしても、相手が警戒していると、“圧が強い会話”と感じられてしまうこともあります。
企業とお客様においてのコミュニケーションも同様で、距離感が重要です。従って、お客様が期待する距離感を察知して対応する仕組みやスキルが必要となってきます。仕組みとは、お客様の好むチャネルを用意したり、お客様のプロファイルを把握するために顧客DBを整備することです。最近のコミュニケーションチャネルでは、とくに若者における電話離れが激しく、チャットやLINEといったテキストコミュニケーションチャネルでの対応が心地よい距離感を保つ重要な要件となってきました。かといって、今までの電話から急にテキストコミュニケーションにシフトすればいいかというと、そういう訳でもなく、シニア対応や緊急トラブル・苦情受付には電話というように、お客様のその時の状況によって最適なチャネル、すなわち距離感を取る工夫が必要となってきます。また、大きなトレンドとしてのテキストコミュニケーションをつかむ努力も必要で、例えばアマゾンエコーや、グーグルホームといった音声認識によるコミュニケーションの普及にともない、新たな距離感の形成のための仕組みが必要となってきます。
さらに、チャネルによる距離感のみならず、対面、電話、テキストなどでの対応においてもお客様の事前期待を察知した距離感を作る必要があります。一般的には「電話よりチャットやLINEの方がフランクな対応で構わない」と言われていますが、コールリーズンやカスタマージャーニー上のどの接点であるか、またお客様のプロファイルを考慮した適切な距離感での会話が、チャットにおいても求められてきています。
顧客DBの活用やお客様の感情を認識するIT技術などを駆使して、お客様との最適な距離感でのコミュニケーションを実現することが顧客満足度やロイヤルティ向上の重要要件になってきます。
ということで、僕と孫娘との距離感を縮めるためにどうすればいいかを考えたところ、今は我慢してもう少し成長するのを待つしかないとの結論。物欲が出てきた頃には、お菓子とオモチャと小遣いで一気に距離感を縮めることもできるかなーと。
図 距離感のタイプと例