呼量予測にAIは使えるか──
属人化から脱却する「自動化」の可能性
膨大な量の過去データをもとに算出する呼量予測は、多くの労力と時間を要する。“職人”のようなエキスパートに任せるセンターも少なくないが、人手不足でマネジメントの効率化が不可欠な今、呼量予測の自動化を検討すべきだ。AI活用で予測精度を高める自動予測機能について検証する。
呼量予測の精度向上は、多くのセンターにおいて永遠の課題だ。
予測精度を高めるには、予測に反映すべきではない要因を特定し予測モデルから排除するといった調整が必要になる。この調整作業を“職人”のような呼量予測担当者が経験と勘で行っているセンターは少なくない。しかし、職人の経験と勘に依存した運営は属人的で継承が難しく、専任者の退職リスクも高くなる。
従来、手作業でしか行えなかったこの調整作業を、AI(人工知能)が代行できる時代になっている。
P&Wソリューションズが提供するパフォーマンス管理システム「Sweetシリーズ」に実装されている呼量予測機能がそれだ。
過去3年分の呼量データからランダム抽出したデータを約100種類作り、予実差を予測しながらモデルを修正し、予測精度を高めている(図)。開発したシステム開発事業部の柴山智之氏は、「除外すべきデータを自動で見つけることができるため、経験の浅い担当者でも予測精度を一定以上に保つことができます」と活用メリットを強調する。
“つながる”コールセンターの実現には、呼量予測の精度向上と、十分な要員の確保が欠かせない。呼量予測のように労力を要するマネジメント業務の生産性を向上させることは、人材の育成や定着に十分なリソースを回すことにもなり、第二の課題である要員確保にもつながる。
図 AIを使った予測モデルの構築
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