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2018年9月号 <インタビュー>

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園田 展人 氏

新しいビジネスを生む技術ではない
AIは「データ資本主義社会」の“道具”

EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング
ジャパン デジタルストラテジー・アンド・
イノベーションリーダー アソシエートパートナー
園田 展人 氏

「AIは新しいビジネスを生み出す存在ではない」。数々のAI利活用のコンサルタント実績を持つ園田氏は、そう言い切る。「本当にビジネスを変えるのは、データ。AIはその価値を向上するツールに過ぎない」としたうえで、現代を“データ資本主義社会”と定義。日本企業、さらに顧客接点でそのツールを活かすための方策を説く。

Profile

園田 展人 氏(Hiroto Sonoda)

EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング
ジャパン デジタルストラテジー・アンド・
イノベーションリーダー アソシエートパートナー

キヤノン、日本総合研究所を経て、現職。大手企業に対して「デジタル戦略」「新規事業テーマ創造・開発」「技術戦略・イノベーション」「AI/IoT導入」「CVC設立・運営」などの支援を手掛ける。また政府機関に対して、科学技術政策・産業政策の提言を手掛ける。主要著書に「人工知能の未来2018-2022」「IoTの未来2018-2027」「ロボットの未来2017-2026」「自動運転の未来2016-2020」(すべて日経BP)などがある。

──依然としてAI(人工知能)が、さまざまなビジネスにおいて耳目を集めていますが、日本市場の現状と課題をどう捉えていますか。

園田 ブーム化以降、大きな誤解を招いている状態が続いていると思います。AIは最近、突然出現したわけではないですし、それ自体が新しいビジネスを生み出す技術ではありません。データから価値を生み出す手段やツールのひとつに過ぎないのです。ビジネス価値をもたらすのは、ツールであるAIというより、データです。そういう意味では、高度経済成長期にオイル(石油)がビジネスの中心だったように、現代はデータがビジネスの中心となる「データ資本主義」の時代といえます。

「戦い方」が変わった?!
価値を生むのは“データ”

──AIは、中長期的に見ても日本経済の救世主にはなり得ないということですか?

園田 AI以前に、そもそも日本企業はデータ利活用において欧米だけではなく中国にも遅れを取っています。多くの経営者、とくに製造業各社は、かつての「優れたモノを作りこめば売れる」という成功体験で得られた思考から抜けられないでいます。この状態でグローバルの先進企業と互角に戦うのは難しいでしょう。

 例えば、中国ではシェアリングビジネスを展開している企業が、電気自動車まで造ろうとしています。米国においても、同様の動きが生まれるかもしれません。昨年のAIスタートアップの資金調達額を見ると、上位は軒並み中国の企業で、日本企業は数社しか入っていません。

──市場構造がグローバルレベルで変化しているにも関わらず、日本企業はついていけていないということですね。

園田 ビッグデータを収集できるプラットフォームがあれば、IT企業に限らず、あらゆる市場に打って出ることが可能です。でも、日本企業の多くは、デバイスの開発は得意でもプラットフォームをつくり出すことを苦手としています。日本企業が隆盛を極めた1980〜90年代とは違い、“価値を生み出すのはモノではなくデータ”で、つまり戦い方も変わっているのです。コンサルティングさせていただいている製造業のクライアントでも、ミドルマネジメントの方々はデータから生み出す価値を理解している方もいますが、エグゼグティブ級は自社技術に基づいた“モノづくり提案”でないと首を縦に振らない傾向があります。

(聞き手・矢島 竜児)
続きは本誌をご覧ください


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