チームのベクトルを揃えるQC活動
“経営貢献するセンター作り”に尽力
三井住友海上火災保険
現・コンタクトセンター企画部企画チーム
チーム長
鎌田 豊 氏
Profile
鎌田 豊 氏(かまた・ゆたか)
1997年、三井住友海上火災保険入社。リテール営業と企業営業を17年経験し、2014年から現職に就任。損保の代理店を通した間接営業の経験を活かし、コンタクトセンターのノウハウを代理店向けのサービスメニューとして展開した。新たな取り組みにチャレンジできるチーム作りを続けている。
大規模コンタクトセンターの多くは、複数のグループで構成されている。往々にしてありがちなのが、「グループごとにベクトルが異なる」という課題だ。顧客から見れば、すべて同じ会社の同じセンターなので「均質な対応」は当然抱く事前期待である。にも関わらず、用件によって品質が異なっては、その期待に応えることはできない。
三井住友海上火災保険 コンタクトセンター企画部営推チーム(当時)の鎌田 豊チーム長は、6つのデスク、約130名を率いるチーム長だ。各デスクは、異なった種類の契約手続きや加入勧奨、各種照会対応を行っている。鎌田氏は、顧客志向のベクトルを全体で一致させるため、SVによるデスク横断の小集団活動(営推Lab)を設置。各SVに権限を委譲し、小集団活動で研究した施策を実行に移した結果、スキルとモチベーションが大きく向上した。「あり がとう率」や、各コミュニケーター (同社のオペレータ呼称)の応対品質スコアも改善している。
さらに、各デスクの得意分野を活用できる勉強会も実施した。火災保険デスクでの加入勧奨スキル向上のために、保険金支払相談デスクによる事故対応に関する勉強会や、クレジットカード決済に関する勉強会を開催。全デスクのSVが参加する顧客経験価値向上の研究会も立ち上げた。研究会では、SVが他デスクの業務も理解したうえでデスク横断の施策を立案・実行、効果検証まで実施。チーム全体の風通しが良くなり、ES調査で「チームワークがよい」と回答したスタッフは78%に達した。
センターのノウハウを全社展開
存在価値を徹底訴求
コンタクトセンターのノウハウを全社的に理解してもらうことで、経営貢献できるケースも多い。鎌田チーム長は、センターのノウハウを代理店向けに提供する「カスタマーセンターイレブン」という活動を主導。代理店に代わって顧客にアポイントコールを行うテレマーケティングや、オペレータの電話応対品質向上のノウハウを満載した「電話応対研修」などが盛り込まれている。なかでもテレマーケティングは、1281にもおよぶ代理店が利用、22万4127件の発信を行い、約5億5000万円の増収に寄与した。
こうしたさまざまな取り組みは、東京だけでなく他拠点、他のチームにも波及。横連携が進んだことでセンター全体の品質やCS、経営貢献に対する意識が飛躍的に向上している。