<コーナー解説>
店舗など、コールセンター以外を含めた接客やサービスのプロにその心構えやノウハウを聞きます。
指摘は2カ所までにして褒める
通い続けたくなる教え方
いけばな雪舟流
次期家元
増野 光晴 さん
Profile
1984年生まれ。早稲田大学在学中より、華道家として本格的に創作活動を開始。卒業後は、コンサルティング会社を経て独立。2009年、男性のみのいけばな教室を立ち上げ、多数メディアに露出。現在は各教室での指導、展覧会出品、舞台美術など通して、いけばな文化の普及に躍進。
「先生と呼ばれる仕事ですが、実態はサービス業といえるかもしれません」。華道の「いけばな雪舟流」次期家元・増野光晴さんは、自身の立場をこう語る。
いけばな雪舟流は1931年に創流された、東京都目黒区に本部を置く華道の流派。教室に通う会員は200名ほどと、規模は決して大きくはない。しかし、いけばな界では貴重とされる、20代の若者や男性会員が多く在籍する。「個性を大切にするいけばな」という流派の考え方が、若者らを惹きつける。
増野さんが“サービス業”と称するのには、この考え方が関係している。「ほとんどの方は、趣味にしたいと軽い気持ちで始めます。習いたての方に、押し付けるような指導をすれば、つまらないとすぐにやめてしまうでしょう。教室での時間をいかに楽しんでもらい“成功体験”を積んでもらい、いけばなにハマってもらえたら」と、指導者としての“狙い”を語る。
押し付けない指導でも、上達を促すために、明確な指摘と褒めることを実践している。「“この場所に花や枝を挿し変えると、こんなふうに作品が変化します”といった、できるだけ明確なイメージを伝えています。直すとしても2カ所まで。その後は、必ず作品の良い点を褒めます。それも、生徒さんがこだわっている点を取り上げるのがポイントです」(増野さん)